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社名公表は運賃値上げの格好の交渉材料

運賃値上げ

先日、名古屋の中堅運送会社が労働局より社名公表されました。

複数の事業所における違法な長時間労働の改善がされていない、との理由からです。

 

社名公表された運送事業者がしっかり安全管理をしているという評判の運送会社であるためか、

多数のご質問をいただいております。

 

「1ヶ月の時間外労働80時間超は違法なのか」

というご質問も多いです。

 

36協定次第です。

36協定で何時間まで時間外労働ができるかが決められているからです。

 

もし、80時間以下で36協定が締結されていれば、

80時間超=(イコール)違法残業となります。

 

今回のケースでは、4事業所すべてに「労働基準法32条違反」があったとの発表です。

 

報道によると最大で197時間の時間外労働をしたドライバーがいるとのこと。

 

1ヶ月の平均法定労働時間は173時間。

これに時間外労働時間197時間を加算すると、370時間の労働時間になります。

さらに、休憩時間が1日1時間あったと仮定すると、20日稼働で1ヶ月20時間の休憩時間。

労働時間370時間+休憩時間20時間=390時間の拘束時間。

1ヶ月の拘束時間は原則293時間。

仮に特例の320時間の月であったとしても大幅な改善基準違反になります。

 

もう1つ、ご質問で多いのが国土交通省の監査が入るのかどうかです。

今回は労働局の「公表」であって、国土交通省への「通知」ではありません。

 

運輸局の監査方針(公示)では、監査の対象にする事業者として

1.都道府県労働局からの「通知又は通報」により、法令違反の疑いがある事業者

2.その他事故、法令違反、事件、苦情等の状況を勘案し、監査を行うことが必要と認められる事業者

と規定されています。

 

上記1は労働局が国土交通省に「通知」「通報」をしないと該当しません。

残るは2です。

「法令違反の状況を勘案し、監査を行うことが必要と認められる事業者」かどうか。

 

時間外労働197時間が改善基準違反であることは火を見るより明らか。

上記2の監査方針に基づき、国土交通省が監査に入るのが常識的な判断でしょう。

 

いや、むしろ運送業界にとって国交省の監査が入ったほうが

荷主の意識を変えさせるにはよいとさえ感じます。

 

「労働時間が長いと、運送会社は社名を公表され、

挙句の果ては国交省の監査、行政処分を受けることになる」。

この事実を荷主にはっきりと現状認識してもらう必要があるからです。

 

今回の公表は荷主に対して

輸送サービスが簡単に手に入れられない時代に突入しつつあることを

理解させる格好の材料になりました。

 

まさに運賃値上げの千載一遇のチャンスです。

 

「値決めは経営である」とは稲盛和夫氏の言葉。

 

あらゆる事例をフル活用して、何としても運賃を上げること。

今が運送会社の社長の正念場ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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