コラム一覧

ドライバーの健康教育は経営戦略である

ドライバー教育

「ドライバーだと治療費を高いと感じて治療しない者が出てくると思います」

 

ある運送会社での管理者の方の話です。

 

その管理者の方は自身がSASの治療中です。

医療器具のレンタル代や診察代で月7,000円前後の出費があるようです。

 

ここにドライバーに対する健康管理の最初の障壁があります。

 

健康に関する出費は、レジャーや食費などに比べて目に見えてメリットがわかりません。

 

レジャーは「楽しい」という感情、食費は「美味しい」という感情に結びつき、

そのための出費はもったいないとは思いません。

 

ところが、本来、最優先すべき「健康」に関する出費はどうでしょう?

 

ガンや大きな病気でない限り、「まあいいか」と問題を直視せず、そのまま放置してしまいがちです。

放っておいても今すぐには重大事態にならないからです。

 

人間は、物を所有したり、楽しい体験をしたりするための投資(出費)にはあまり抵抗がありません。

 

何もないこと(病気にならず、健康で生きていること)を維持するための投資(出費)の重要性に気づく人は極めてまれです。

 

運送会社の社長さんもしかり。

ドライバーの健康教育もコストがかかります。

 

若いドライバーのように何もコストをかけなくても維持できるほど「健康」は甘くありません。

健康を保つのに、トラックの点検整備と同じようにお金をかけることが必要です。

 

まずは「健康維持にはお金がかかる」という基本をドライバーに教育することがスタート。

 

この教育なしに、会社命令で無理やり再検査をさせても、

健康管理を自ら実施しようという気にはならないでしょう。

 

今、日本の子供の6人に1人が貧困といわれています。

貧困になるきっかけの1つが「病気」です。

 

しかし、実は病気になって貧困になるのはドライバー個人の話にとどまりません。

 

病気でドライバーが働けなくなり、欠員が出る。

運送会社の管理者や同僚ドライバーの負担が重くなる。

無理を続けた管理者や同僚ドライバーが体調を崩す。

さらに他の管理者や同僚ドライバーの負担が増す。

 

“不健康”による負のスパイラルに陥ります。

 

1人のドライバーの体調不良は、運送会社全体の体調不良になる危険信号!

 

「健康診断による再検査を進んで受診するドライバーを増やすこと」。

これが当面の最低目標です。

 

この目標を達成するためのドライバーに対する健康教育。

運送会社自体が健康を保つための予防医療の1つになりますね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ