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記憶に残るドライバー教育に不可欠なもの

ドライバー教育

「禁錮4年の実刑」。

昨年8月に徳島道バス転落事故を起こしたドライバーの判決です。

 

路肩に停車していたバスにノンブレーキで追突、

高校生など16名の死傷者を出した痛ましい事故。

 

「強い眠気を感じたまま運転を続け、路肩にはみ出したのは著しく危険。

結果は重大で遺族の無念さは察するに余りある」。

これが判決文です。

 

実は、今回の事故でもう1つ重大な事実がわかりました。

 

ドライバーの過去の病歴です。

“安全な運転に支障を及ぼす恐れのある病気”があったことです。

 

ドライバー(事故当時50歳)が7年前に

“重度の睡眠時無呼吸症候群”と診断され、治療をしていました。

ところが、自分勝手な判断で治療を中断してしまっていたのです。

 

「治療器具を装着して余計に睡眠がとれなくなると思いやめた」。

治療を中断した理由です。

 

このドライバーは今回の事故前にも数回事故をおこしています。

本人はSASの影響ではないと主張していますが、あまり信用されません。

 

重大事故を起こした際、“過去の病歴”まで調査されることがあります。

特に“運転に支障を及ぼすおそれのある疾病”であれば

裁判で不利になる可能性があるでしょう。

 

プロドライバーは、いつでも自身が安全な運転ができる健康状態であることを証明する責任があります。

ところが、ドライバーはなかなか再検査を受けたがりません。

 

受けてもらうためには、再検査を受けることの重要性を理解させる教育が必要です。

重要性を理解させても、すぐ行動してもらえなくては意味がありません。
重要性を“長く記憶”してもらわないと、

再検査やその後の治療という“行動”までたどり着きません。

 

では、長く記憶してもらうためにはどうしたらいいのでしょうか?

 

脳の仕組みでは、短期で記憶を忘れるか、長期にわたって記憶しているかの選別基準は

「生命に関わる情報」かどうかといわれています。

 

「生命に関わる情報」にもレベルがあります。

生きるか死ぬかの「恐怖」レベル。

精密検査入院での「不安」レベル。

風邪をひいたことでの「不快」レベル。

 

「健康診断結果の所見ありを放置したり、持病を放置して、事故を起こすと、

裁判で不利になることがある。」

これもある意味、「生命に関わる情報」でしょう。

 

 “自分に降りかかる不幸”となる情報には誰だって敏感なもの。

ドライバー教育をする際に、

これをしないと「近い将来、降りかかる不幸」を少しだけ盛り込むように工夫してみましょう。

 

ただし、何事もやりすぎは禁物。

エセ占い師のように「私の言うことに従わなければ地獄に…」に似た怪しい教育になってしまいます。

 

健康リスクのあるドライバーの洗い出し。

徳島道バス転落事故のもう1つの大事な教訓ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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