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死亡事故の運輸監査に強い運送会社

国土交通省の監査

社長の積極的な関与。

最近の死亡事故を受けての国交省監査で分かった重要ポイントです。

監査の序盤は、雑談を兼ねて社長にさりげない質問が続きました。

「安全教育は実施していますか?」
「安全会議は実施していますか?」等々。

「安全教育資料を見せればいいんじゃないの?」
そう思われた方もいるでしょう。

実は、安全教育記録や安全会議録の
形式的な資料を見るのが目的ではなかったのです。

「安全教育で特に重点を置いている内容は何ですか?」
とか
「安全会議に社長さんは出席していますか?」
など、社長がどれだけ安全管理にタッチしているか。

このことを確認するためのカムフラージュの雑談だったのです。

国交省の監査官もプロです。

質問に対して社長がどのように受け答えをするのか。

これを観察すれば、
その社長が日頃から安全管理にどの程度関与しているのかが
透けて見えてしまうのです。

おそらくは、昼食後の本格的な監査を始める前の
情報収集といったところでしょうか。

この社長に対して、
何を重点的にチェックしようかを考えながら繰り出す
監査官からの質問。

午後は、かなり詳細な内容までチェックされることになりました。

点呼記録については、
乗務前点呼時のドライバーへの「指示事項」を指摘。

「指示事項」は記入していたのですが、
全ドライバーに一括して1つの指示事項しか記入していなかったのです。

ドライバーの体調や行き先によって「指示事項」は違うはず、との理由です。

病み上がりのドライバーには、体調不良になった場合の指示。
大雨が予想される場所へ向かうドライバーへの雨天走行の注意点の指示、等々。

言われてみれば、「おっしゃる通り」のご指摘。

ほとんどの運送会社は「指示事項」の記入についてまで
気にかけていな状況ではないでしょうか?

安全教育についても、
法定11項目を漏れなく実施し、記録も保存しているところまではOK。

ただ、ココでも指摘が1つ。

「ドライバーは本当に教育内容を理解したのでしょうか?」
という痛いところを突く質問。

教育を受けたドライバーの感想や理解度チェックのテストなどが必要とのこと。

わかっちゃいるけど、できないのがドライバーの感想やテストの実施です。

安全教育は来年3月に改正されます。
現行の11項目から12項目に増加します。

点呼しかり、安全教育しかり。

これまでは“実施さえしていれば”ほぼ問題なかったことが、
今後は内容を充実させていくことが求められます。

重大事故を起こした時に問われるのは
“事故前”までの普段の安全管理。

日頃から安全管理に積極的に関与している真面目な社長なら、そんな時でも大丈夫。

冒頭の運送会社も最終的に指摘されたのは、わずか2件の違反。
しかも軽微な違反のため、おそらくは「文書警告」です。

アスリートは、毎日の練習をいかにストイックに継続して、
工夫して頑張り続けることができるかが勝負の分かれ目です。

最後に勝利の女神が微笑む“運送会社の社長”。

それは、
普段から安全管理に深く関与する運送会社の社長、
ということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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