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国土交通省と労働局の合同監査!

国土交通省の監査

「このドライバーと同じ違反をしているドライバーが複数いれば北海道の事業所(昨年1月に30日の営業停止処分を受けている)のようになる恐れがある」

 

監査終了後の運輸局の監査官からの所見です。

 

先日、ある地区の運送会社に監査が入りました。

ただの監査ではなく、

運輸局と労働局の「合同監査」です。

 

運輸局3名、労働局2名、計5名、

労働局は半日、運輸局は2日にわたって行われました。

 

その結果、8つの法令違反を指摘。

では、違反内容を順番に見ていきましょう。

 

1つ目は、乗務員の健康状態を把握していなかった、です。

 

具体的には、

点呼記録の「健康状態」の良否チェックをしていないドライバーがいたこと。

細かい指摘ですが、点呼記録上、確実にチェックした事実が記入されていないと違反になります。

 

さらには、

複数のパート社員ドライバーに健康診断を受診させていなかったことも指摘されています。

フルタイムの正社員でなくても、ドライバーとして選任する場合には必ず受診させる必要があります。

「正社員ではないから、まあいいか」。

そう軽く考えてしまいがちですので注意が必要です。

 

 

2つ目は、運転者台帳の作成をしていなかった、です。

複数名分が作成していなかったことを指摘されましたが、盲点が1つ。

「管理者」の台帳を作成していなかった点です。

中小運送会社の場合、ドライバーが欠勤すると「管理者」が代走することが多いと思いますが、その際には台帳作成が必要になります。

監査でよく追及される盲点ですので要注意!

 

 

3つ目は、運転者台帳の記載事項等に不備があった、です。

ここにも盲点が1つ。

辞めたドライバーの台帳です。

退職日、その理由の記載漏れです。

3年間の保存義務がありますので、

「辞めたドライバーの台帳はない」と言えば、「保存義務違反」になります。

適正化事業実施機関の巡回指導ではまず指摘されないので、かなり油断していると思います。

監査ではよく指摘される項目ですので今一度確認をしてください。

 

 

4つ目は、点呼の記録をしていなかった、です。

明日の乗務前点呼のアルコールチェックが今日の時点ですでに記入されていました!!

予言者でなければできない技ですし、仮に予言者だと自認しても法令違反は免れません。

 

 

5つ目は、点呼の記録の記載事項等に不備があった、です。

点呼者の要件がない者が点呼の確認印を押していた、とのこと。

補助者については届出義務がないため、点呼者の要件を確認するのを怠りがちです。

運行管理者資格を所有しているか、基礎講習を受講しているかが補助者の要件。

社内で必ず確認し、資格者証や基礎講習修了の写しを保存して、いつでも提示できる状態にしておきましょう。

 

 

6つ目は、特定の運転者に対し、特別な指導が不適切、です。

65歳以上のドライバーに対して、適齢診断の結果に基づく個別指導が実施していなかった、ということです。

 

 

7つ目は、特定の運転者に対し、適性診断を受診させていなかった、です。

新規雇用時の「初任診断」と65歳以上の「適齢診断」が複数名、受診させていたかったのです。

 

 

最後8つ目は、運転者の拘束時間等の遵守が不適切、です。

今回は労働局との合同監査ですから最優先でチェックされる内容です。

 

 

ドライバー3名を重点的にチェックされたようです。

うち1名が1ヶ月400時間を大きく上回る拘束時間で、

乗務基準違反(拘束時間や休息期間、運転時間などの1ヶ月の違反回数)が31件以上ありました。

 

冒頭の監査官の所見は、このドライバーのことです。

 

今回はおそらく「車両停止30日」でしょう。

ただ一歩間違えれば「営業停止30日」です。

 

まさに“紙一重”。

この違い、この怖さがわかるかどうか。

 

社長さんの危機管理能力が問われる格好の事例ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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