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運転するなら社長も拘束!

国土交通省の監査

社長を含め役員も“労働者”。

2018年3月下旬に国土交通省が法令解釈の変更をしました。

乗務基準(一般的には乗務時間等告示)には、
拘束時間や休息期間、運転時間の決まりが定められています。

基準違反をすれば、車両停止や営業停止などの厳しい行政処分を受けることになります。

今回のポイントは、ドライバー兼役員(社長、専務、常務など)です。

一般的に役員はトラックに乗務しないことが多いでしょう。
ただ、それは大手中堅の運送会社の話。

トラック運送会社は車両数30台以下の中小零細企業がほとんどです。
社長や専務が乗務することも少なからずあるはずです。

規模が小さくなるほど、社長や専務もドライバー業務に携わる時間が長くなります。

国土交通省の言い分はこうです。
過労や疾病による重大事故は、だれでも起きうること。
社長だから、専務だから事故を起こさない、という保証はどこにもない。
だから「ドライバー(労働者)」と同じ扱いをする。

これまで社長や専務は自分の報酬を確保するために、
拘束時間の上限を超えてドライバー業務を行うことで帳尻を合わせることができていました。

それが今回の解釈変更でできなくなります。

実務上、問題が生じるケースが考えられます。

深夜早朝点呼です。
中小零細の運送会社では深夜早朝の点呼者を採用する余裕がないため、
社長や専務などの身内の役員が点呼者となるケースが多々見られます。

問題となるのは、実際には深夜早朝に点呼を実施していないにもかかわらず、
点呼者として点呼記録に記載されている場合です。

日中トラックに乗り、深夜早朝は点呼をしているケースです。
果たして1日の拘束時間(原則13時間以内、特例16時間以内)を守ることができるでしょうか?

この点を監査で追及される可能性が高くなるでしょう。
(監査官)
「社長、トラックに毎日乗っているようですが、本当に深夜早朝点呼をやっているんですか?」

(社長1)
「実は深夜早朝点呼は実施していません」
と虚偽記載を素直に認めるのか。

この場合、深夜早朝点呼の時間分、拘束時間が短くなります。

(社長2)
「深夜早朝点呼をやっています」
とシラを切るのか。

“虚偽の陳述”ですので一番危険なケースです。
1.不実記載、車両停止30日、
2.乗務基準違反(1ヶ月の違反16件以上の場合)、車両停止40日、
3.虚偽の陳述、営業停止30日
のトリプル行政処分となってしまうからです。

「(トラックに)乗るなら(点呼を)やるな」
「(点呼を)やるなら、(トラックに)乗るな」

トラックに普段から乗務している“役員”による深夜早朝点呼。
ドライバー兼役員の乗務基準違反をしないためにも、今、見直す時期ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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