コラム一覧

優先順位を知る経営者だけが運輸監査時に動揺しない

国土交通省の監査

乗務時間等告示の違反にも軽重あり。
7月にスタートした行政処分基準強化の話です。

注目は冒頭の「乗務時間等告示の違反」です。

主な乗務時間等告示の内容は
1.1ヶ月の総拘束時間(原則293時間以内、例外320時間以内)
2.1日の最大拘束時間(16時間)
3.1週の拘束時間(1日15時間超2回以下)
4.1日の休息期間(連続8時間)
5.連続運転時間(4時間運転で30分以上の休憩等)
6.1日の運転時間(2日平均9時間以下)
7.1週の運転時間(2週平均44時間以下)
です。

上記7つの違反件数をはじき出し、
監査したドライバーの中で最も違反件数が多いもので行政処分を決定されていました。

具体的には、初違反の場合、
5件以下で「警告」、
6件以上15件以下で「10日車」、
16件以上で「20日車」
となっています。

この点は7月以降も同じ基準のままです。
大きく変わるのは2つ。
1つ目は、1ヶ月の拘束時間違反についてです。
原則293時間超の場合、特例月でも320時間超の場合、
別途「10日車」の行政処分が“上乗せ”されることになります。

例えば、監査の結果、
1ヶ月の拘束時間違反「1件」
1日の拘束時間違反「2件」
1日の休息期間違反「2件」の合計5件の場合、
改正前は「警告」にとどまり、車両停止処分にはなりませんでした。

ところが、改正後は「10日車」の行政処分となってしまうのです。
これまでのように「総違反件数」だけを気にするだけでは不足。
1ヶ月の拘束時間をコントロールすることが求められます。

2つ目は、休日労働です。
これまでの監査で「休日労働違反」を取り上げられることは
ほとんどなかったので“初登場”といってもよいでしょう。
休日労働は2週で1回しか認められていません。
1ヶ月の拘束時間違反は1ヶ月で最大「1件」しか発生しませんが
休日労働違反は1ヶ月で2件まで発生する可能があります。

1ヶ月の拘束時間違反と休日労働違反の「総件数」で行政処分が決まります。
1件なら「10日車」、2件以上で「20日車」となります。

10日車といえば、総違反件数6件以上15件以下の場合の行政処分に相当します。
それが改正後はわずか“1ヶ月の拘束時間違反1件”だけで同じ「10日車」。
乗務時間等告示の中でも相当な重みのある違反だということがわかります。
休日労働違反もしかりです。

“乗務時間等告示の違反にも軽重あり。”

行政処分の重さを知ることは安全管理の“優先順位”を知ることです。
“優先順位”を知る経営者は重大事故の際も動転することはありませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ 資料ダウンロード