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軽井沢バス転落事故で、気づく社長or気づかない社長

お知らせ

軽井沢で発生したスキーツアーバスによる死傷事故。

15名死亡、しかも20代前後の若者が中心ということで、
大変痛ましいものとなりました。

事故後の国土交通省の監査で次々と法令違反が判明しました。

健康診断を受診させていない。

点呼を実施していない。

過労運転が疑われるドライバーがいる。

ドライバーに対する安全教育も未実施。

3ヶ月点検を実施していない。

運行指示書の作成が不適切だった等々。

重大事故を起こすと、
「これでもか!」というくらい、
徹底的に細かい箇所まで法令違反のチェックが入ります。

今回の報道を見たり、聞いたりして、どう感じたでしょうか?

「まったくヒドイ会社だな!」
と何の後ろめたさもなく言い切れたでしょうか?

いちばん問題視され、よく報道されたのが
「雇入れ時の健康診断の未受診」。

事故直後から痛烈な批判をされている法令違反です。

前職で受診した、というドライバーの証言だけを信じて、
受診結果内容を確認する前にバスに乗務させたこと。

バス事業者として、あるまじきことです。

たとえドライバーの健康状態が事故の直接原因ではなかったとしても、です。

実際、入社後数ヶ月で年に1回の定期健康診断があるからという理由で、
雇入れ時の健康診断を“省略”してしまっている運送事業者は多いです。

通常の監査でそこまで指摘されないために、未実施となる傾向が強いです。

ただ、一度、重大事故が発生すれば大変な問題に発展します。

雇い入れ時の健康診断を
運送業界では省略しているという常識は、社会の非常識です。

乗務前点呼もしかり。
普段バレないからと未実施のままでいると、
ある日ある時、事故が発生した時にはどうにもなりません。

今回のバス会社は
社長が補助者として点呼を実施する予定だったが
遅刻したため点呼をせずにドライバーを出発させてしまった、
と苦しい釈明をしています。

その日の乗務後点呼の社長の確認印が、
事故をしてできないはずなのに既に押印されていた事実。

「社長に手間をかけさせたくなかったため」という社員の証言。

これらの事実から、
そもそも社長は点呼をする気などさらさらなかったことが分かります。

ツアー会社から運賃を値下げされ、立場が弱くて仕方がない。

時間にも余裕がなかったから、
点呼も教育も健康診断も点検整備もできなかった。

運送業界を知る身としては、その気持ちは良く分かります。

しかし、です。

やはり、そんな言い訳を許すことはできません。

なぜなら、バス業界であれ、トラック業界であれ、
それでも真面目に安全管理に取組んでいる事業者はいるからです。

せっかく業界全体の評価、地位を
少しでも向上させようとしている事業者の努力を無にする行為だからです。

安全管理ができない言い訳ばかりをしている事業者は
速やかに排除されてしかるべき。

厳しいですが、失われた命より尊いものはありません。

業界の常識は社会の非常識!

すべて完璧に法令順守することは難しくても、
できるだけの努力は必要です。

「健康診断(雇入れ時を含む)」と「点呼」。

安全管理の基本であり、最優先事項ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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