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運転中の心臓発作と4つの対策

お知らせ

「あの時、再検査を受診させておけばよかった」

こんな後悔の声が聞こえてきそうな話です。

10月に事業用自動車事故調査委員会(通称:事故調)の調査報告書が発表されました。

今回の事例は貸切バスの事故ですが、
トラック運送会社にも大変参考になる内容です。

事故の概要は次のとおりです。

貸切バスのドライバーが運転中、左胸に異変を生じ、
前屈みになって前方を注視できない状況が続いたため、
前方で停車している故障車に気づくのが遅れ、追突し、
ドライバーと添乗員が重傷、乗客13名が軽傷となる事故に至りました。

ドライバーが運転中に狭心症を発症したのが事故の原因とのことです。

従って、この事故はドライバーに対する健康管理が主な問題となります。

実は、このドライバーは入社直前と前月の2回、
起床前に左胸が苦しく締め付けられる感じが約10分間続いていたことを
バス会社に申告していませんでした。

さらに、入社4日後に受診した健康診断(いわゆる雇入れ時の健康診断)で
2つの疾病および心電図異常について
「要治療、要精査」であるとの医師の意見を受けていたのです。

社長(運行管理者を兼務)と一緒に後日、
健康診断を受診した病院で再検査を受ける予定になっていたのですが、
社長が業務多忙であったため、再検査の受診が遅れてしまったのです。

もし、すぐに再検査を受診させ、適切な治療を受けていたなら・・・。

覆水盆に返らず、です。

考えられる対策は次の4つ。

1つ目は、採用時の面接で健康状態を自己申告させること。

2つ目は、健康診断結果で「異常あり」となったドライバーは100%再検査を受診させること。
“異常あり”とは、要検査、要精密検査、要治療のことです。

3つ目は、再検査を受けさせるまでの期間、乗務前点呼時のみでなく、
乗務中にも中間連絡をして健康状態の把握をすること。

4つ目は、運転中に体調異変があった場合、
直ちに安全な場所に停止し、会社に連絡し、指示を仰ぐこと。

会社に連絡するように指導はしていても、
具体的な対応方法を指導できていないことが多いです。

今回のように高速道路走行中に体調異変が生じた場合にどうすればよいのか。

やむを得ず路肩に停車する場合に、
非常信号用具や停止表示板を適切に使用することを教育しておく必要があります。

今回事故を起こしたドライバーは56歳。
トラックドライバーもこの世代の割合は大きいです。

「あの時、対策をとっていれば・・・」

こんな後悔を絶対しないためにも、4つの対策は確実に実施しておきたいですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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