コラム一覧

再検査を受けないドライバーをどうする?

お知らせ

「ドライバーがなかなか再検査を受けてくれなくて困っています」

比較的多くいただくご相談内容です。

健康診断実施後、
「異常あり」の診断結果が出たドライバーに対して
“再検査”の受診をさせること。

事故防止の観点からは当然、
運送会社の安全配慮義務の観点からも、とても大切なことです。

まずは、再検査を受診についての基本的な法律的な考え方をご説明します。

ドライバーは入社する時に
運送会社と“労働契約”を締結します。

主な内容は
「ドライバー自身がトラックを安全に運転することと引き換えに、運送会社は賃金を支払う」
というものです。

運送会社は、
ドライバーがトラックを安全に運転することを大前提に
雇用し、賃金を支払うわけです。

ドライバー自身の原因で
体調が悪い場合、悪くなっている可能性がある場合で
安全な運転ができない恐れがあると運送会社が判断すれば、
トラックに乗務させることはできません。

万が一、運転中に発作を起こし、
交通事故を惹き起こしたりすれば
大変な責任を運送会社が負うことになるからです。

労働契約法では
「使用者は、労働契約に伴い、
 労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ
 労働することができるよう、
 必要な配慮をするものとする。」
と、安全配慮義務について規定されています。

ドライバーの体調が良好でなければ、
安全な運転ができない恐れがあります。

運送会社の安全配慮義務が生じる場面です。

冒頭のご相談のように、
ドライバーがどうしても再検査を受けたくないのであれば、
個人の自由だから仕方がありません。

ただ、会社としては
安全に運転できる体調であるかが確認できない以上、
トラックに乗務させるわけにはいかないので、
欠勤してもらうしかない旨をドライバーに伝えることになります。

法的な説明は以上のとおりです。

ただ、これをそのままドライバーに説明したところで、
なかなか理解されないでしょう。

なかには反発してくるドライバーもいるかもしれません。

そこで必要なのが経営者や管理者の説得力です。

では、いったい、どのように説得したら良いのでしょうか?

やはり
立場を入れ替えて
考えてもらうようにしたほうがよいです。

「もし、あなたのお子さん(奥さん、お孫さん、ご両親など)がトラックに轢かれて死亡した場合」
という仮定の話です。

1.事故原因がドライバーの発作だったら、
  ドライバーに対して、
  あなた(遺族)はどのように思うでしょうか?
  発作だから仕方ないと、そのドライバーを許すことができるでしょうか?

2.事故原因がドライバーの発作だったら、
  雇用している運送会社に対して、
  あなた(遺族)はどのように思うでしょうか?
  ドライバーの再検査まで運送会社が指導できないから仕方ないと、
  その運送会社を許すことができるでしょうか?

逆の立場で少しだけ想像してみれば、
再検査を受けないでトラックを運転する自分自身の無責任さを自覚できるはずです。

自分目線から交通事故の被害者目線。

“もし◯◯の立場だったとしたら、あなたはどう思いますか?”

このキラークエスチョンを活用して、再検査100%受診を目指しましょう。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ