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これからの運送会社は「時間外労働時間」がキーワード

お知らせ

「かとく」の動きが活発化しています。

ご存知の方も多いかと思いますが
「かとく」とは「過重労働撲滅特別対策班」の通称のことです。

2014年11月に施行された過労死防止法。
その関係で2015年1月、厚労省に「過重労働等撲滅チーム」が発足しました。

そして4月、
東京労働局と大阪労働局に設置されたのが
「かとく」なのです。

先日、大手靴販売チェーンの店長と法人が
労働基準法違反で書類送検された事件。

これが「かとく」が検挙した第一号事案となったのです。

「かとく」の役割は、主に大手事業者の長時間労働の是正です。

巧妙な労働時間違反の隠蔽を見破る専門スタッフがいるのが特徴です。

今回の摘発事例は、
1ヶ月の時間外労働が100時間前後の労働者が多数いたことが原因でした。

いわゆる、過労死ライン(労災認定される目安)が1ヶ月80〜100時間であることが根拠です。

ただ、これは運送業界にとっては頭の痛い話です。

2015年1月に北海道の運送会社が
30日の営業停止処分を受けました。

その影響もあり、運送業界では、
拘束時間や休息期間などの乗務基準違反の改善意識は徐々に高まりつつあります。

しかしながら“1ヶ月の時間外労働時間”についてはどうでしょう?

まだまだ意識が弱い事業者さんが多いはずです。

下手をすると、
1ヶ月の拘束時間は293時間以内で守っているのに、
時間外労働は80時間以上になっていることすらあります。

2〜6ヶ月を平均した1ヶ月の時間外労働時間が80時間以上。
単月で時間外労働が100時間以上。

これが過労死ラインです。

「かとく」の活動がこれから活発化していきます。

報道によって80時間以上の時間外労働が
“問題のある労働”であることが世間一般に知らされることになります。

当然、ドライバーも自身の時間外労働時間をチェックするようになります。

少し前に過労死事件で問題になった大手居酒屋チェーンもそうですが、
運送業界も時間外労働が長いのが常識です。

「これくらいは他所の運送会社もやっているよ」。

このような妙な安心感があるように思います。

しかし、です。

ある日ある時、ドライバーが心臓疾患や脳疾患を発症したとき。

ある日ある時、ドライバーがうつ病などを発症したとき。

運送会社に対して
ドライバー本人やその遺族(妻や子、両親など)が
慰謝料や逸失利益などの巨額の損害賠償請求をしてくるリスクが潜んでいます。

業界の常識は一般人の非常識!

業界の常識に甘えないこと、です。

そのための第一歩。
それは、勇気を持って
「1ヶ月の時間外労働時間」を把握し、改善意識を持つことですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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