コラム一覧

運送会社の危機管理を破綻する「特例」の怖さ

お知らせ

この夏(2015年)、
国土交通省の監査方針が変わることはご存知の方も多いと思います。

今まで労基署の調査が入った場合、
乗務基準違反が見つかれば国交省に通報され、
監査になることが多かったです。

今年2015年1月に
北海道の運送事業者が30日の営業停止処分を受けたのも
まさにこの事例でした。

この夏の改正では、
国交省に通報された“後”が少し変わる予定です。

労基署から通報された国交省は、
まず運送事業者と適正化実施機関に“指導通知”を行います。

その後、適正化実施機関による巡回指導が実施されることになります。

但し、この巡回指導は
「乗務基準違反」をメインとする内容になるようです。

巡回指導で乗務基準違反を指摘された運送事業者は、
原則3ヶ月以内に改善報告を適正化実施機関に報告をします。

適正化実施機関は
改善結果内容の「適」「否」の結果を
国交省に報告する形になります。

巡回指導の改善結果を参考に
国交省が監査に入るかどうかの判断をする。

大雑把ですが、このような流れになる予定です。

北海道や九州の事業者が
長距離運行メインで乗務基準の違反が多いため、
従来の監査方針を押し進めることで、
いきなり30日の営業停止処分になる事業者が増える可能性が高まっていました。

そんなこんなで、まさに苦肉の策として生み出された仕組みです。

「巡回指導」というワンクッションある仕組みになるため、
労基署の調査からいきなり国交省の監査、
となるケースは少なくなるかも知れません。

「それだったら、巡回指導があってから乗務基準を改善すればいいじゃないか」

そんな風に高をくくってしまう社長さんも出てくるかもしれません。

ただ、です。

どんな仕組みにも特例、というものが存在します。

今回の制度もしかりです。

重大事故を起こしてしまった場合。
早急な対応が必要な通報の場合(おそくらく乗務基準違反の状況が悪質など)。

この場合は従来通り、
いきなり国交省の抜き打ち監査となります。

ココが実はポイントになります。

重大事故はいつ起きるか誰も予測できません。

重大事故を起こした後に乗務基準を改善しても後の祭り。

もし、監査で
乗務基準違反31件以上
かつ
過半数のドライバーの拘束時間違反
が発覚したら、万事休す。

やはり、安全管理、
中でも危機管理は平時の取り組みで勝負あり、です。

いかに日頃から気を抜かず、
法令順守に力を入れていくか。

社長さんの少しの気のゆるみは、
会社全体に一気に拡散していきます。

運送会社の危機管理は、
社長の日頃の危機意識のレベルで決まりますね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ