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命令していないようで、実はしている過労運転

お知らせ

本年2015年1月に
北海道の運送会社が30日の営業停止になったこと。

このことがあまりに印象に残るあまり、
忘れてしまっている重要なことがあります。

そのことを思い出させる行政処分が先日発表されました。

中部地区の運送会社が受けた
7日の営業停止処分です。

この運送会社は、東名高速道路で
物損事故を起こして停車していた大型トラックと軽自動車に衝突し、
路上にいた2名を死亡させる事故を発生させました。

国土交通省の監査の結果、
乗務基準違反や疲労等乗務の下命容認、その他6件の法令違反が発覚。

結果、7日の営業停止(16台)と110日車(3台)の車両停止処分となりました。

今回のポイントは、
運送会社が事故を起こしたドライバーに
疲労等の乗務を命令、容認していたかどうか、
という点です。

なぜなら「疲労等の乗務を命令、容認」していれば
7日の営業停止になるからです。

ところで、
「運送会社がドライバーに疲労等の乗務(=過労運転)を命令、容認」していたかどうかを
誰が決めるかご存知でしょうか?

実は、公安委員会が決めるのです。
(もちろん、異議がある場合には裁判に打って出ることはできます。)

国土交通省は、都道府県公安委員会からの通知、
いわゆる道路交通法108条の34に基づく通知を受けて
7日の営業停止を決定します。

監査でその他の違反事実が見つかれば、
行政処分が更に重くなるだけの話です。

では、運送会社が“疲労等の乗務を下命、容認”していたことになるのは、
どのようなケースがあるのでしょうか?

実は、公安委員会がどのような時に下命容認と判断するかは明らかにされていないのです。

では、どうすればいいのでしょうか?
やはり、過去の判決事例を参考にするしかありません。

最近の判決事例では

1)乗務基準

2)休憩、睡眠の質

3)事故前の運転状況

4)居眠り運転をした事実

の4点で判断されました。

この中でも特に重要なのが
1)の乗務基準です。

念のためおさらいですが、
乗務基準とは主に

1.1ヶ月の最大拘束時間(293時間以内、特例で年6回迄320時間以内)

2.1日の最大拘束時間(16時間以内)

3.1週15時間超16時間以内2回以下

4.1日の休息期間(連続8時間以上)

5.連続運転時間(4時間運転して30分以上の運転をしない時間の確保)

6.1日の運転時間(2日平均9時間以下)

7.1週の運転時間(2週平均44時間以下)

の7項目です。

ただ上記1〜7の乗務基準違反をしただけでは、
疲労等乗務の下命容認にはなりにくいです。

上記1〜7の乗務基準違反の
“逸脱の程度”によって
下命容認かどうかを判断されます。

ということは、当然、乗務基準の違反件数は
“逸脱の程度”の重要な判断材料になるということです。

1ヶ月31件以上の乗務基準違反をしているドライバーが3名以上、
かつ、
営業所のドライバーの過半数が拘束時間違反をしている場合に
30日の営業停止になる、ことばかりに注意がいきます。

しかしながら、今回の事例のように、
重大事故を起こしたドライバーの乗務基準違反の件数が多ければ、
過労運転の下命容認と判断され、
7日の営業停止になることも忘れてはいけません。

どちらにしても、運送会社の安全管理において、
乗務基準違反の削減は
避けては通れない重要な取り組み、ということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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