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ドイツ旅客機墜落事故で思い知らされた、精神疾患対策の重要性

お知らせ

世界的にも大きなニュースとなったドイツの旅客機墜落事故。

原因が副操縦士のうつ病の可能性が高いということで、
改めて安全管理の難しさを見せつけられました。

今回の事故は何も航空業界のことではないのでないか。
そう思った社長さんもいるのはないでしょうか?

例えば、たくさんの旅客を乗せる観光バス。

もし、今回と同様にバスの運転士が精神疾患でよからぬ行動を起こしたら・・・。
大惨事になったであろうことは容易に想像できます。

では、わがトラック運送業界はどうでしょうか?

もし大型トラックのドライバーが突然、歩行者の列に突っ込んでいったら・・・。
考えただけでも恐ろしいことです。

最近では運転中の発作により、
バスやトラックが大きな事故を起こすケースが増えてきています。

その結果、国土交通省も運送事業者に対して、
ドライバーの健康管理を徹底する指導をするようになってきました。

健康診断の受診させることは当然、
診断結果で“異常あり”の場合には、必ず再検査を実施し、
医師から乗務の可否に関する所見をもらうことが義務化されました。

しかし、それでもどうでしょうか?
こと精神疾患については、なかなか把握することが難しいものです。

国土交通省の指導マニュアルには
統合失調症の前兆・自覚症状として次のような症状を挙げています。

□ 独り言、空笑いをする

□ 会話にまとまりがない

□ 落ち着きがない

□ 意味不明の唐突な行動をする

□ 目がすわり、表情に乏しい

□ ぎこちない動作をする

□ 幻覚を見る、妄想を言う

□ 勤怠状況や勤務態度が変化する

□ 身なりに構わなくなる

これらの状況をドライバー本人、運行管理者等の双方で
チェックすることが義務化されています。

なるほど、とは思ってはみたものの、
それでも、通常の病気と違い、
精神疾患は運行管理者が「あれっ」と思っても簡単に本人に対して
「最近少し様子がおかしいから、病院で診てもらったほうがいいよ」
とは言えないものです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

まずは、ドライバーの健康状態(精神状態を含みます)に問題がある場合に、
会社側が健康診断(法定の健康診断ではなく)を受診することを命令できるように
ルールづくりをしておくことが必要になります。

つまり、就業規則にその旨の規定を盛り込むことが大事になってきます。

ところが、ココで1つ問題が出てきます。

就業規則に規定すれば、
何でもかんでもドライバーに健康診断の受診を命令できるのか、という問題です。

受診命令するだけの“正当な理由”が運送会社にあること。

このことが後々トラブルにならないためには大切になります。

具体的には、
ドライバーの普段とは違う行動や症状がどのようなものだったかの
記録(メモ)を残しておくことです。

過去の裁判でも、
精神疾患の状況をメモした記録があったおかげで
“健康診断の受診の強要”にならず、
損害賠償請求を受けずに済んだ事例があります。

厚生労働省が発表している統計では、
平成25年度の精神障害による労災認定件数で、ドライバー職種は全職種の中でワースト3です。

どちらかというと今まではあまり縁のなかった精神障害に対する対策。

間違いなく、これからのトラック運送会社の危機管理の1つになりますね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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