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過労死防止法は、運送会社の“恵みの雨”にできるか

お知らせ

全国で労災の申請件数、認定件数が最も多い業種。

不名誉ながら「貨物運送業」であることが
厚生労働省のデータで判明しました。

40代〜50代に集中しているということです。

正確にいえば、業界で活躍しているのが
40代〜50代のドライバーがほとんどだから、ということになります。

折しも11月から
「過労死等防止対策推進法(通称:過労死防止法)」が施行されました。

この法律は直接的な罰則規定はありません。

ただ、国に対して過労死を防止するための対策を求めるものです。

今後、さまざまな施策が検討され、具体的に実行されていくことでしょう。

おそらく、労働基準監督署の臨検は
トラック運送事業者に対して計画的に行われるはずです。

拘束時間等の問題点があれば国土交通省に通報。

通報を受けての国土交通省の監査。

監査で違反が見つかれば行政処分。

このシナリオが来年以降は多くなるでしょう。

ただ悪いことばかりでもありません。

この法律のおかげで、長時間労働が社会的問題であることを
荷主企業にも周知されます。

今までのように、
トラック運送会社に無理な運行を押し付ければいい、
という雰囲気ではなくなるでしょう。

そのためにトラック運送会社として今できることをする。
これが大事です。

今できること、はいろいろあります。

自社の労働法令違反状況を把握すること。

把握する段階で人手に頼るよりも
デジタコ等の機器を導入したほうがよいことが分かります。

では、いつまでに何台導入するのか。

どこのメーカーのものを導入するのか。

労働法令違反の中で何を改善するのか。

おそらく、連続運転時間が改善の手始めになるはずです。

次に休息期間の改善。
継続8時間に満たなかった日で、
あと数十分で8時間だった事例をどう改善するのかを考えます。

1日最大16時間の拘束時間についても改善策を考えます。

1ヶ月293時間、特例でも320時間(年6回まで)についても
毎月違反しているようでは問題があります。

まずは1ヶ月でも多く守ることができる月を増やすための改善策を考えます。

ただ、労働法令違反は拘束時間を中心として乗務基準だけではありません。

拘束時間の陰で忘れがちなこと。
それは「1ヶ月の時間外労働時間」です。

100時間超(単月)、80時間超(2ヶ月平均)のチェックです。

これは国土交通省の行政処分の話ではなく、
労災認定の重要な判断基準になっています。

労災認定はそれだけで終わらないことが問題です。

それは何か?

慰謝料や労災では不足している逸失利益などを求めた巨額の損害賠償請求です。

運送会社の「安全配慮義務違反」を根拠に争われる裁判です。

労災認定をされている場合には運送会社にとって負け戦ですので、
和解なることが多く、6千万円〜1億円前後が相場となっています。

労働法令違反は運送会社にとって致命傷ともなりかねないものです。

過労防止法という新たな規制。

新たな規制を味方にできるかどうか。

成長し続ける会社かどうかの分岐点ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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