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時間外労働80時間未満の形式上36協定でよいのか?

時間外労働時間

1ヶ月80時間。
過労死ラインといわれている、1ヶ月の時間外労働時間です。

今年度に入り、労働基準監督署の指導が増えてきています。

具体的には、
80時間を超える時間外労働で36協定を結んでいる事業者に対し、
「自主点検表」の提出を要請しています。

過労死防止法による
時短へ向けたちょっとした圧力といったところでしょうか。

しかし、冷静になって考えてみると、
運送業は時間外労働時間の規制がない業種です。

80時間超=法律違反、にはなりません。

にもかかわらず、労基署は自主点検表の提出を求める。

いったい、どうしたらいいのか?

もし、自主点検表を提出し、
労基署がやってきたら大変じゃないか。

拘束時間や休息期間の違反を見つけられたら
国交省に通報されはしないだろうか?

そんなことになるぐらいなら、
初めから「80時間未満」のウソの36協定を出しておけば
問題が起きないのでは、と思われた方もいるでしょう。

関東のある運送会社で
ドライバーがくも膜下出血で倒れ、就業不能になりました。

労災請求に基づき労基署が調査に入り、
36協定違反で運送会社と所長が書類送検されてしまいました。

36協定では96時間。
実態は約124時間。

その差、28時間です。

実際のところ、
124時間で36協定を結び、
届出しておけば問題はなかったところです。

運送会社の場合、
時間外労働時間の規制がないので
年間を通して繁忙期における最大の時間外労働時間で届け出ておくのがポイント。

ただし、注意が必要です。

あくまでも乗務基準、
すなわち1ヶ月293時間(特例320時間)以内、
休息期間や連続運転時間などを守っていることが大前提となります。

それでも労基署から自主点検表の要請はきます。

もしかすると労基署の調査も入るかもしれません。

でも、労基署が入り、国交省に通報されても、
原則、まずは適正化事業実施機関の巡回指導です。

巡回指導では時間外労働時間はチェックの対象外。

拘束時間等の乗務基準がメインです。

巡回指導後の改善指導期間内に
乗務基準の改善ができれば原則OK。

結論としては、
36協定は実態にあった時間外労働時間で結ぶことが大切、ということです。

何かと注目の「1ヶ月の時間外労働時間」。

刑事処分(労基法違反)を選ぶか。

それとも、巡回指導を選ぶか。

とにもかくにも、

今すぐ36協定の内容を確認してみましょう。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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