コラム一覧

アンバランスな「法令違反の数」と「行政処分の重さ」!

過労運転

7日間の営業停止処分と120日の車両停止(5台×24日)。

3月に山陽道トンネル事故を起こした
運送会社が受けた行政処分の内容です。

法令違反の件数は何と15件。

具体的には、

乗務基準(拘束時間など)、
健康診断の未受診、
点呼を実施していない、
点呼記録にウソの記入をしていた、
運行管理者の補助者要件がない者に点呼を実施させていた、
安全教育の未実施、
運転者台帳の不備、
運転日報の不備、
運行指示書の不備、
初任診断の未受診、
車体に社名表示がない、
あげくは社会保険の未加入など。

あるはあるはの15件。
ほとんど法令無視の状態です。

守っている項目を探すのが難しいくらいです。

「だから7日間の営業停止になったんだ」。
そう思っている方がほとんどではないでしょうか。

しかし、事実は小説よりも奇なり。

実は7日間の営業停止になった理由。

それは、
運送会社がドライバーに過労運転を命令(または容認)した、
として公安委員会から通知を受けたからなのです。

法令違反の件数が多い、からではないのです。

15件にも及ぶ法令違反の中のたった1件。

“乗務基準違反”が著しく違反をしていて、
それに運送会社が関与していたからなのです。

実は、法令違反という目に見えないものには“重さ”があります。

点呼違反をした場合と教育が未実施の違反をした場合では、
行政処分は異なります。

同じ乗務基準の違反をした場合ですら、
その違反の程度によって、
行政処分は天と地ほどの差が開きます。

どれくらいの差があるのかといえば、
10日間の車両停止(1台)から30日間の営業停止(全車両)までの開きです。

120日(5台×24日)の行政処分から、
31台から60台の規模であることが分かります。

7日間、全車両が使用停止になるわけですから、
相当の経営ダメージになったのではないでしょうか?

今回の事故からの教訓
それは、法令違反の改善は
「優先順位」がとても大切だということです。

せっかく改善しても、
優先順位を間違えれば、頑張った効果がでません。

今回の事例でいえば、
事故を起こしたドライバーの拘束時間は
1ヶ月420時間前後、休日は2ヶ月半で3日でした。

これでは過労運転を命令(容認)していた、
と疑われても弁解不能です。

法令違反、
中でも乗務基準の違反は、
行政処分(営業停止)と刑事処分(過労運転下命罪)の
2大リスクを孕んだ手強い法令違反なのです。

1ヶ月320時間超の拘束時間ドライバーは即、改善。

これが本当の運送会社の危機管理ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ