コラム一覧

警察が豹変したトラックドライバーのひと言

過労運転

「居眠りしていました」。

 

ドライバーのたった一言。

これがすべての始まりです。

 

居眠り運転による事故の場合、警察はどう考えるか?

 

「過労運転ではないのか?」

真っ先にココを疑います。

 

要するに

「勤務先の運送会社の安全管理体制に問題があるのでは?」

ということです。

 

最近もこんな事例がありました。

 

高速道路が渋滞していて、時速10数キロでトラックが追突し、2台の乗用車を損壊した事故です。

 

幸いにもケガ人もなく無事でした。

 

ところがです。

 

事情聴取でのドライバーの証言がまずかったのです。

 

「なんで追突したの?」(警察)

「居眠りしていました」(ドライバー)

 

何とも素直で、無邪気な受け応え!!

 

ドライバーの第一声が

「居眠りしていました」、だったのです。

 

その後はお察しの通り。

 

夜9時にもかかわらず、わざわざ他県から愛知県の営業所まで警察の出張サービスです。

 

事故前6ヶ月分のタコグラフ、運転日報、点呼記録などを持ち帰っていきました。

 

結果は、想定内の不起訴。

 

拘束時間は乗務基準の293時間以内。

休日も1か月4日以上取得済み。

時間外労働も80時間未満。

 

これでは警察は手も足も出ないです。

過労運転の“か”の字も出ません。

 

それにしても、不用意なドライバーの一言。

 

追突事故をした時に気が動転するのはわかります。

 

ただ、相手は警察。

自分の発言がどれだけ重みがあるのか。

この点は教育してもよいのではないでしょうか。

 

「追突事故を起こしても絶対、居眠りしていたって言うな!」

こんなのは教育では絶対ありません。

 

ただ、事故を起こした際の証言。

 

これが後々裁判になった時には「重要な証拠資料」となり、自分の罪が重くなる原因にもなる、ということは教育すべきです。

 

 

先日も新東名で路肩に停車中のバスにトラックが追突、バス運転士2名が死亡する事故が発生しました。

 

「何も覚えていない」。

ドライバーの警察への証言です。

 

考えられるのは、居眠りか、体調急変の2つに1つ。

 

事故後に健康チェックをしているはずなので、おそらく体調急変はないでしょう。

 

となると・・・。

 

勤務実態も12日間の連続勤務。

なかなか厳しい状況に追いつめられています。

 

ドライバーのたった一言。

これだけですべてが解決するほど甘くはありません。

 

ただ、重大事故未満の軽い人身追突事故の際でも、過労運転を疑われる。

これだけは運送会社もドライバーも忘れないでほしいのです。

 

たった一言の重みを知る。

 

政治家だけでなく、ドライバーにも教育しておきたいですね。

 

 

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ