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「過労運転の下命容認」と「居眠り運転」との微妙な関係

過労運転

「眠たかった」。

 

徳島道バス転落事故のトラックドライバーの自白です。

 

故障で路肩に停車中のマイクロバスに追突。

バスは道路外の斜面へ転落。

バス運転士と女子高生の2名が死亡、14名負傷となった事故。

 

すでに運送会社に警察の家宅捜索が入り、本格的に実態解明が進んでいます。

 

当初、「前をよく見ていなかった」としか話していなかったドライバー。

 

バスとの衝突までブレーキ痕が残っていなかったこと。

スピードが制限速度の20キロを上回っていたこと。

トラックの車体の大部分が本線車線外側にはみ出していたこと。

 

次々に取り調べで証拠を突きつけられ、

ついにギブアップといったところでしょうか。

 

居眠り運転=過労運転、ではありません。

居眠り運転にも食後にウトウトする場合もあるからです。

 

今後の焦点は1つ。

ドライバーの“改善基準違反の程度”です。

 

毎度登場の7つの主な改善基準です。

1.1ヶ月の総拘束時間(原則293時間以内、例外320時間以内)

2.1日の最大拘束時間(16時間)

3.1週の拘束時間(1日15時間超2回以下)

4.1日の休息期間(連続8時間)

5.連続運転時間(4時間運転で30分以上の休憩等)

6.1日の運転時間(2日平均9時間以下)

7.1週の運転時間(2週平均44時間以下)

 

中でも

1.1ヶ月の拘束時間

4.1日の休息期間

5.連続運転時間の中断

は特に重要。

 

警察はこれら改善基準違反の程度を調べます。

 

「1ヶ月の拘束時間」は一定期間の疲労の蓄積を示すものです。

「1日の休息期間」は1日の疲労を回復させるものです。

「連続運転時間の中断」は運転の疲れを緩和させるものです。

 

現時点では、小牧市から松山の営業所へ帰る途中で、

連続運転が約4時間であったことが判明しています。

 

今後、1ヶ月の拘束時間や1日の休息期間の違反の程度次第で、

過労運転かどうかの判断がされます。

 

過労運転ということが判明した時にはどうなるか?

“運送会社”の責任を追及するという次の段階へ移ります。

 

「過労運転の下命、容認」の罪に当たるかどうかです。

 

まずは運行管理者の逮捕。

必要があれば、所長や整備管理者も。

過労運転の下命、容認の事実を知っている可能性が高いとなれば社長まで。

 

最終的に「過労運転の下命、容認」となれば、運送会社は7日間の営業停止処分になります。

 

今回の事故は果たしてどのような結果が待っているのか?

 

事故直後、報道陣の取材での社長の発言、

「勤務的に無理はさせておらず、健康診断もしていた」。

この言葉が果たして真実なのかどうなのか?

 

「事故日の前までに休みがあった」

とか、

「ドライバーが疲れた様子はなかったから大丈夫と思った」

という感覚的なことでは通用しません。

 

「勤務的に無理をさせていないこと」とは

「乗務基準を遵守していたこと」である必要があります。

 

万が一、重大事故を起こしてしまった時。

乗務基準をしっかり守っていたことを経営者が説明できること。

 

これが運送会社の社長としての最低限の責任ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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