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ドライバー入社前チェック3点セット

疾病運転

「初任者教育を修了したばかりのドライバーが初乗務前に辞めると言ってきました。」

 

ある運送会社さんの話です。

 

「以前に精神疾患にかかっていたことがあり、

いざ明日から一人で運転業務をするという段階になって

自信が持てなくなってしまった」とのこと。

 

初任ドライバーといえば、

2017年3月12日から座学15時間以上、横乗り20時間以上の

初任者研修が義務付けられたばかり。

 

これだけの手間暇をかけた挙句に

「やっぱり無理なので辞めます」。

正直、経営者として腹が立ちます。

 

ただ、よく考えると腹が立たないのです。

 

その事業者は面接の際に採用予定者に「誓約書」を書いてもらっています。

その中に「健康状態」に関することも申告させるようになっています。

 

具体的には

「自動車の運転に支障を及ぼす恐れがある病気」についての申告です。

 

脳疾患、心臓疾患、統合失調症、てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖、

そううつ病、睡眠障害、認知症、アルコール中毒がそれに当たります。

 

すぐに辞めることになったドライバーは、

誓約書にはこれらの病気にすべて罹患したことが"ない”旨の申告をしていました。

 

実はこの“虚偽の申告をしてしまった”こと。

このことに本人が罪悪感を少しもっていたこと。

これが結果的には良かったのです。

 

人生、嫌なことがあった時こそ、

どんなメリットがその背後に隠されているのかを考えてみれば、

嫌なことも実は良いことに思えてくるから不思議です。

 

もし、「誓約書」で健康状態の自己申告をさせずに入社させていたら、

どうなっていたでしょう?

 

ドライバー自らが過去の病気のことをあまり気にせずに

運転業務についてしまう恐れがあります。

 

運転中に精神上の発作を起こし、重大事故でも起こしてしまったら後の祭りです。

 

また、入社後に精神疾患を発症し、頻繁に欠勤を繰り返すようであれば、

配車マンのストレスは大変なものになったことでしょう。

 

代わりのドライバーも1、2度なら快く協力してくれるでしょうが、

頻繁になれば不満を募らせ、社内の雰囲気が悪くなる恐れがあります。

 

今回の事例は、“入社前のチェック”が

後のトラブル予防にいかに重要なことかがわかります。

 

ドライバー不足で余裕のない時だからこそ、

ゆるくなりがちな入社前の必須3点チェック。

1.運転記録証明書による違反、事故の状況。

2.健康診断および健康状態の申告。

3.初任診断の受診と結果の確認。

 

「入れなきゃ良かった!」

そう後悔しないためのトラブル予防策ですね。

 

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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