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名言に学ぶ運送会社の危機管理(第3回)

物流ニッポン

「多くの女性は生活の中で惰性的に生きてしまう。醜さにも慣れてしまう。だから“これ”が必要なのよ」

ココ・シャネルの言葉です。

 

“これ”って何か?

そう、「鏡」のことです。

 

シャネルは自信家で人の話をあまり聞かない性格だったようです。

私を含め多くの中小運送会社の経営者の方も同じではないでしょうか?

 

そんな“傲慢な”人間が真っ当に経営していくために必要不可欠なもの。

それが“鏡”なのです。

 

“鏡”は、本当の鏡のことであったり、良き助言者、

出会った本や音楽、自分の周りで起きる出来事そのもの、であったりします。

 

鏡は自身の現状を隠さず映し出してくれます。

見たくないもの、聞きたくないこと、認めたくないこと。

ありとあらゆるモノ、コトを指し示してくれます。

 

覗き込む勇気さえあれば、自社や経営者自身に何が欠けているかが分かります。

 

私は仕事柄、運送会社の経営者の方と仕事をさせていただくことが多いです。

お会いしてまずすること。

それは経営者の“欠点”を探すことです。

こんな風にいうと“嫌な奴だな”と思われるかもしれません。

しかし、そうではありません。

 

例えば、熱しやすく冷めやすいタイプの社長の場合。

“飽き性”というマイナスイメージで捉えられがちですが、長所でもあります。

熱しやすい、とはいい話を聞けばすぐに行動に移すとういうこと。

行動力はあるのです。

ただ問題は継続することが苦手だということです。

これには解決法はあります。

 

スタート時点は社長に決断させ、後の活動は管理者などが行えばよいのです。

数ヶ月に1回、社長にも会議に参加していただき、

活動内容や改善できたこと、改善すべきことを社長に知ってもらいます。

 

熱しやすい社長ですから、会議内容に刺激されて、何か意見や指示をする可能性が高いです。

他人が欠点と思うことでもうまく活かせば長所にもなるのです。

 

この点についてシャネルはもっと過激です。

 

「欠点は、使いこなしたら、あなたの強みになる。

だって欠点があるということは、特徴があるってことでしょ。

隠せないなら武器にしなさい。特徴を欠点ではなく武器にするのよ」

 

ごもっともです、女王様!

それにしても凜とした強い女性です。

 

当時、グラマラスなことが女性の美しさと言われている中、

毅然と自身の華奢な体に合う美しい服を作り続けたわけですから。

 

今、大手運送会社が物凄い勢いでドライバー募集をしています。

時間外労働時間の問題解決のための人材確保です。

一度、求人広告をチェックしてみて下さい。

 

「年間休日110日以上。年次有給休暇10日〜20日。退職金制度あり・・・」

「大手だから仕事が安定しているので安心!福利厚生も充実!」

 

こんな“魅惑的な”求人広告を自社ドライバーが見たらどう思うでしょうか?

 

「俺はうちの会社がいい。他社なんて興味ない!」

そう断言してくれるドライバーが一体どれだけいるでしょうか。

 

ただ中小運送会社が大手の真似をしても早晩行き詰ります。

大手並みの給料、大手並みの休日数、大手並みの福利厚生。

数え出したら中小運送会社にはできないことだらけです。

 

ここで必要なのが

「大手ができないことってな〜んだ?」の逆転の発想です。

 

社長がドライバーと直接話すことができない。

社長がドライバーの性格を把握できない。

社長がドライバーの生活環境を把握できない。

社長がドライバーの趣味趣向を把握できない。

社長がドライバーの仕事ぶりを把握できない。

社長が直接ドライバーを評価できない。

社長の決断による臨機応変な手当、賞与の支払いができない。

 

結局、大手と中小運送会社の違い。

それは次の2つに集約されます。

1つ目は“社長”が現場を直接把握できるかどうか。

2つ目は“社長”の決断が現場に反映されるのが早いかどうか。

 

要するに、現場を熟知している中小運送会社の社長が即座に決断できること。

これが中小運送会社の強みです。

 

いい仕事をしたドライバーがいれば、社長が直接褒めることができます。

社長じきじきに褒められれば悪い気はしません。

ましてや手当に反映されたら更に喜びます。

 

社長が自分のことを気にかけて話しかけてくれるのも嬉しいものです。

運行管理者や配車係が話しかけてくれるのもいいですが、やはり社長は別格。

もちろん社長がドライバーから尊敬されていることが大前提ですが。

 

立派な労務管理ではなく、血の通った労務管理。

これができるのが中小運送会社です。

 

大手と中小を比べて人間臭い魅力があるのは断然、中小運送会社の社長。

 

癖のあるドライバーや問題の多いドライバーを教育指導していく

我慢強さ、度量の深さが身についているからでしょう。

 

よく「2代目、3代目経営者はダメだ」という話を聞きます。

半分当たっていて、半分間違っています。

 

人材確保で苦労し、努力をし続けている経営者なら

何代目でも人間的魅力はあります。

 

「欠点は、使いこなしたら、あなたの強みになる。

欠点があるということは、特徴があるってこと。

隠せないなら武器にしなさい。特徴を欠点ではなく武器にするのよ」

 

シャネルの言葉は中小運送会社の社長を励ます言葉です。

 

“欠点が隠せないなら武器にしなさい。”

特にこの言葉をよ〜く噛み締めて下さい。

 

“鏡”に映る自社の欠点、社長の欠点から目を背けるのは愚の骨頂!

中小運送会社にとって、社長自身が大手に勝る唯一無二の武器だということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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