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運送事業者の優先課題!ドライバーの「過労」と「疾病」の2大リスク(後編)

ひので~す

今年4月に「健康管理マニュアル」が改定

貨物自動車運送事業者は、乗務員の健康状態の把握に努め、疾病、疲労その他の理由により安全な運転をし、又はその補助をすることができないおそれがある乗務員を事業用自動車に乗務させてはならない。」

読者の皆さんは、この文章を読んでどう思われるでしょうか?貨物自動車運送事業輸送安全規則第3条第6号の内容です。非常に抽象的です。運送会社として、どの程度までドライバーの健康状態を把握しなければならないのか。また、どのような状態のドライバーを乗務させてはいけないのか。今一つハッキリしません。

今年の4月18日付けで国土交通省は「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」を改定しました。注目すべき点は健康診断“実施後”の運送会社としての措置です。前回の連載記事では、健康診断で「異常あり」の所見のあるドライバーに対する措置を中心にお話しました。今回は、健康診断で「異常なし」のドライバーについてどうするのか?誤解を恐れずにいえば、これまでは健康診断で「異常なし」であれば、その後は点呼で簡単な健康状態を確認する程度でよかったです。それが今回の改正でどのようになったのでしょうか?

管理者はこれまで以上に前兆や自覚症状の確認が必要

「自動車の運転に支障を及ぼすおそれのある一定の病気」。この一定の病気の“外見上の前兆や自覚症状”による疾病の把握をすること。今回、新たに義務づけられた内容です。「一定の病気」の具体例をマニュアルには例示しています。カッコ書きは具体的な症状の一例です。

  1. 脳疾患(しびれ、呂律がまわらない等)
  2. 心臓疾患(胸が痛い、のどの圧迫感等)
  3. 統合失調症(独り言、空笑い等)
  4. てんかん(ひきつけ、ぼっとする等)
  5. 再発性の失神(めまい、ふらふら感等)
  6. 無自覚性の低血糖(空腹感、脱力感等)
  7. そううつ病(急に口数が増える、泣き言を言う等)
  8. 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害(夜中息が止まる、日中しばしば居眠りする等)
  9. 認知症(物忘れがひどい、不安感が強い等)
  10. アルコール中毒(酒が切れるとイライラする、飲むと暴れる等)

運送会社としては上記1〜10の前兆や自覚症状を確認しなければなりません。具体的には、これらの症状をアンケート用紙のように「YES/NO」欄を設けてドライバーに自己チェックさせ、その結果について管理者がドライバーに確認するのが理想だと思います。

アンケート内容の症状が、慢性的なのか、複数の症状がないか等を総合的に判断し、必要がある場合には健康診断で「異常あり」のドライバーと同じ措置が必要になります。「同じ措置」とは、医師に面談させ、ドライバーの乗務に係る意見を聴取することです。乗務に係る意見とは「乗務の可否」や「乗務の際の配慮事項」のことです。

今までノーマークだった健康診断結果「異常なし」のドライバー。医師だけでなく、運送会社による健康チェックまで細かく要求される時代になりました。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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