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労働基準監督署の監査を受けたらすぐ改善! 事業を継続していく上で不可欠です

ひので~す

「重要な法令違反」の疑いがあれば“優先的に”監査を実施

『「重要な法令違反」の疑いがある事業者に対しては“優先的に”監査が実施されます。』これは、2013年10月に改正された国土交通省の監査方針のキーワードです。重要な法令違反の具体的内容を下記に挙げました。

8つの重要な法令違反とは

  1. 乗務基準が著しく遵守されていない
  2. 定期点検整備を全く実施していない
  3. 点呼を全く実施していない
  4. 運行管理者が全くいない(急死、急病等を除く)
  5. 整備管理者が全くいない(急死、急病等を除く)
  6. 名義貸しをしている
  7. 事業の貸渡しをしている
  8. 監査の拒否、虚偽の陳述をしている

上記の「重要な法令違反」の疑いがあれば、監査が“優先的”に実施されるようになりました。そして監査の結果、重要な法令違反が発覚すると「30日の営業停止」と非常に厳しい処分が科されます。この行政処分基準は、14年1月1日以降の違反から適用されています。

では一例として、重要な法令違反の疑いにより優先的な監査を受け、30日の営業停止を受けた事例を紹介します。

事例:重要な法令違反により30日に営業停止

関東地区のある運送事業者は、整備管理者がいない状況でした。ある時、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の巡回指導を受けた際、整備管理者がいないことを指摘されたのですが、すぐに整備管理者の補充をすることをしませんでした。

その結果、同機関から国土交通省に“速報”され、国土交通省の監査を受けることになってしまいました。そして監査で、整備管理者がいないことが指摘され「30日の営業停止」処分を受けることになったのです。

労働基準監督署からの通報で“抜き打ち”監査

先ほどの事例では、まさかそんなに簡単に運送事業者にとって致命傷になる、「30日の営業停止」の行政処分はしないだろう、という慢心が引き起こしたものといえます。ただ、今回のような「整備管理者がいない」という違反は、読者の皆さんの会社ではほぼないので実感が湧かないかもしれません。それは、8つの重要な法令違反のほとんどが極端な違反で、そう思う方が多いのは仕方ありません。

しかし、8つの中の1つ。連載の第1回でお話しました「①乗務基準を著しく遵守していない」は、運送事業者の方の中には思い当たる節があるかもしれません。「30日の営業停止」事例ができた今、やはりこれから注意すべきは「乗務基準違反」なのです。

では、乗務基準違反の疑いのある事業者だと国土交通省が気づくキッカケは何でしょうか?いちばん多いケースは「労働基準監督署からの通報」です。

労働基準監督署は、運送事業者に監査(臨検)に入り、乗務基準違反を見つけ、国土交通省の指導が必要と判断した場合には、国土交通省に通報することになっています。労働基準監督署から通報を受けた国土交通省は、ほぼ間違いなく、その運送事業者に対して“抜き打ち”監査を実施します。そこで乗務基準違反が見つかれば行政処分。「乗務基準違反31件以上のドライバーが3名以上」かつ「拘束時間違反のドライバーが過半数」の違反が指摘されれば、最悪の「30日の営業停止」になります。

労働基準監督署の監査の時点で違反があれば、即改善を

8つの重要な法令違反の中で、乗務基準違反はすぐに改善できない、改善までに時間のかかる根が深い法令違反です。今すぐ改善に着手するのは言うまでもありませんが、万一、労働基準監督署の監査が入り、多数の乗務基準違反を指摘され場合には要注意!基本、国土交通省の抜き打ち監査が数ヶ月以内に入ることを念頭に、何が何でもすぐに改善に着手すべきです。

なぜなら、労働基準監督署の監査が入った時点で違反があったとしても、その後に改善されていれば、原則、乗務基準違反を問われないことが多いからです。最悪なのは、労働基準監督署の監査があっても、改善をろくにせず、社会保険労務士に適当に是正報告書を作らせ、提出してしまうことです。何の解決にもならないどころか、国土交通省の抜き打ち監査で行政処分を受けるのは必至です。

労働基準監督署の監査を受けたらすぐ改善。重い行政処分を受けるも避けるも、すべては経営者の方の対応次第です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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