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ドライバーに「安全教育」なんて意味がないと思っていませんか?

ひので~す

「安全教育」を甘く考えていた結果、厳しい処分に

ドライバーに対する「安全教育」。運送事業者の皆さんは確実に取り組んでいかなければなりません。では、安全教育を甘く考え実施を怠ったために、営業停止になった事例を紹介します。

事例:酒気帯び運転で3日営業停止の処分

関東地区のある運送事業者は、ドライバーが酒気帯び運転をしたことを公安委員会から国土交通省に通知され、監査を受けました。

監査の結果、酒気帯び運転の防止に関する「安全教育(指導監督)」を明らかに実施していないことが判明。3日の営業停止処分という厳しい判断が下されました。

この事例で分かること。それは、酒気帯び運転などの「悪質違反」をしてしまった時に安全教育(指導監督)を実施していなかった場合、行政処分の内容は、経営に大きなダメージを与える非常に厳しいものになる、ということです。

それではまず、「悪質違反」とはどんな違反をさすのでしょうか?(過積載や薬物等使用運転もありますが)主な悪質違反としては次に挙げる通りです。

主な悪質違反例

  1. 酒気帯び運転
  2. 過労運転
  3. ひき逃げ
  4. 無免許運転
  5. スピード違反(一般道30km/h、高速道40km/hオーバー)

5つの悪質違反で重大事故を起こした場合、原則、「3日あるいは7日の営業停止処分」になるのです。ただ、営業停止処分になるには、もう少し条件があります。

「安全教育」の実施と記録を習慣にしてください

「悪質違反」を起こしてしまい、営業停止処分に至るまでの条件とは何でしょうか。それは、公安委員会が国土交通省に通知をし、この通知を受けて国土交通省が監査をした結果、「(運送事業者が)悪質違反の防止のための指導、監督を明らかに実施していなかった場合」というものです。

もしかすると中には、「えっ!」と思う方がいるかも知れません。悪質違反(過労運転を除く)をしたのはドライバーであって、会社は悪くないじゃないか。しかし、運送会社側にももちろん責任がある、ということなのです。それは、悪質違反を防止するため「安全教育を実施する」という責任です。

ところで、この「安全教育」。内容は、エコドライブや日常点検、外部講師を招いての講話など、実にさまざまです。しかし、忘れては行けないのは“法令上の”安全教育です。ドライバーに対する安全教育メニューは法令で定められています。ご存知の方も多いかと思いますが、次に紹介する11項目です。

ドライバーに対して行う“法令上の”安全教育

  1. トラックを運転する場合の心構え
  2. トラックの運行の安全を確保するために遵守すべき基本的事項
  3. トラックの構造上の特性
  4. 貨物の正しい積載方法
  5. 過積載の危険性
  6. 険物を運搬する場合に留意すべき事項(輸送する場合のみ)
  7. 適切な運行の経路及び当該経路における道路及び交通の状況
  8. 危険の予測及び回避
  9. 運転者の運転適性に応じた安全運転
  10. 交通事故に関わる運転者の生理的及び心理的要因及びこれらへの対処方法
  11. 健康管理の重要性

行政処分は、上記11項目を何%実施していたかで決まります。「悪質違反」を起こしてしまった時、「“法令上の”安全教育」を50%以上実施していれば、初回違反は「警告」。50%未満しか実施していなければ、初回違反で「10日の車両停止」です。

実は、改正前の行政処分基準(2013年10月まで)では、50%未満しか実施していない場合は最大で「60日の車両停止」でした。今は6分の1に行政処分が軽くなっています。

営業停止にならないためにも安全運転の記録を

「忙しい中、ドライバーの仕事を止めてまで行うわりには、たいした行政処分ではない」、「なんだ、安全教育にそれほど力を入れなくていいか」と思われる方もいるかもしれません。でも、それは大きな間違いです。繰り返しになりますが、“安全教育を実施しなかった場合(0%)”に万一「悪質違反」を起こすと、「3日あるいは7日の営業停止処分」を受ける可能性があり、経営に大きなダメージを与えます。そうならないためにも「安全教育」を確実に実施し、併せてその「記録の作成・保存」をしっかりと行ってください。

果たして皆さんの会社で、5つの「悪質違反」を伴う重大事故が起きた時、事故前に予防のための安全教育をしていたことを証明する資料(紙)はあるでしょうか?安全教育記録という「紙」ですが、監査時には「神」にみえることでしょう。営業停止になるかどうかは、まさに「紙一重」ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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