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第1回 事故を起こしても、団結できる運送会社とは?

中小運送会社の社長力

1月にある運送会社の新年会にご招待されました。
その運送会社は、開業して2年目で、車両数もまだ12、3台ぐらいです。この運送会社は昨年、死亡事故を起こしてしまいました。被害者が飲酒後に"自転車"で赤信号を無視して国道を飛び出してきたことが主な原因でした。
しかし、そのドライバーは行政処分により、しばらくの間トラックを運転できなくなりました。当然、売上があがりませんので、会社としては給料を払いたくても支払うことができません。特に開業したばかりの運送会社には、その余力がありません。
ところがです。なんと、その運送会社の仲間のドライバーたちが1人ずつお金を出し合って、そのドライバーに、生活費の足しにしてくれ、と自主的にカンパしたのです。ひるがえって、"派遣切り"が横行する今の時代。いずれは正社員である自分もリストラになるのでは、と自信をなくしかけて、ビクビクしている社員も多いでしょう。新年会の締めの社長の挨拶は、とても力強い、熱いものでした。
「俺は、今いるみんなを絶対に守ってやる!だから、信じてついてきて欲しい!」こんなにシンプルで、想いのこもった社長のメッセージがあるんだ、と。久しぶりに、社員思いの、優しくて強い、本物の経営者の姿を見て、私自身、大きなエネルギーをもらいました。すぐに派遣社員や正社員をリストラする、自分の保身しか頭にない腰抜け社長にはない、責任感と愛情のある骨太な経営者。こういった会社が長期的にみて繁栄しないわけがない。そう確信させられた新年会でした。
「雨降って地固まる」。まさに、この運送会社に当てはまる言葉ですね。
事故やアクシデントの時に、運送会社の真の実力が分かります。事故を起こしたドライバーに対して"個人攻撃"をすることが事故防止対策と勘違いしている運送会社。一方で、事故を起こしたのは、ドライバー個人だけの問題ではない。会社の安全管理や社長自身の問題ととらえ、会社全体で事故防止対策に取組む運送会社。
一体、どちらの運送会社が長期的に繁栄できる運送会社なのか。
誰が考えても答えは明らかではないでしょうか?

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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