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第18回 「運転記録証明書」の取得で防げた事故

中小運送会社の社長力

ある運送会社の話です。 今年Gマークの申請をしたいということになり、「運転記録証明書」を取得することになりました。 「運転記録証明書」とはドライバーの過去3?5年間の交通違反や事故の履歴を証明する書類です。 その内容を見て、私は卒倒しそうになりました。 あまりにもヒドイ内容だったからです。 約30%のドライバーが4回以上の交通違反や事故歴がある問題ドライバーだったのです。 それまで社長さんからは、うちの会社はデジタルタコグラフもいち早く導入してしっかり安全対策を実施している、という話を聞いていただけに、その落差に正直言葉を失ってしまいました。 でも、これは笑えない話なのです。 安全管理とは、デジタコやドライブレコーダー、バックアイカメラなどの設備を導入し、管理職に丸投げすれば解決できる、と安易に考える社長さんが実に多いのです。 話を戻しますが、ドライバー1人1人の「運転記録証明書」の内容を分析すると、いろんなことが見えてきます。 例えば ?そのドライバーがよくする交通違反や事故の内容。 ?交通違反や事故を起こしたから次の交通違反や事故を引き起こすまでの周期。 つい先日もある運送会社でドライバーが追突軽傷事故を起こしました。 早速「運転記録証明書」を確認したところ、ちょうど5年前に同様の軽傷事故を起こしていたことが判明しました。 非常に残念だったのは事故を起こす数週間前に「運転記録証明書」を取得していたことです。 もし、その時、適切な個別指導を実施していれば今回の事故は予防できたかもしれません。 このように「運転記録証明書」をすでに取得していたにもかかわらず、事故を未然に防ぐことができなかったケースは意外に多いのです。 問題は、その情報をどのように活用できるのか、です。 ここは、人間の力、すなわち社長さんや管理職のマネジメント力が必要なところです。 結局、デジタコもドラレコも、それを活用できる人間がいるかどかにかかっている訳ですよね。 これでお分かりですよね。 本当に安全管理を適切に実施するには、まず管理職のマネジメント能力を高めることが先決なのです。 それもしないで「どうしてお前たちはしっかり安全管理ができないんだ!」と嘆いたり、怒鳴り散らしている社長さん。 まずはご自身が管理職に対して適切に指導できていないことを自ら露呈していることに気づくことが先決でしょう。 なぜなら賢明な社長さんはすでに管理職の養成に力を入れ始めているからです。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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