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第26回 もし社長が裁判員ならどうジャッジする?自社が事故を起こした時に問われる日頃の安全管理体制

中小運送会社の社長力

ついに関東の大手タクシー会社が「許可取消し」になったことは皆さんもご存知のとおりです。
主な原因はドライバーの長時間労働です。
この事実を聞いて、
運が悪かったなぁ、と思う社長。
法律が現状とかけ離れていておかしいんだ、と思う社長。
荷主に言われたらNO!と言えないから仕方ない、と思う社長。
いろいろな意見が出てきます。
私も運送業界の実情を知っている立場から言えば、もっともな意見だと思います。
しかし、です。
今回のこの行政処分は、トラック運送会社にとっては、もっと重く受け止める必要があります。
なぜでしょうか?
今回処分されたのはタクシー会社です。
旅客運送会社です。
一般的に言って旅客運送は一般生活者のインフラとして機能しているため、営業停止や許可取消しなどの行政処分になることはほぼありません。
ところが、今回は今まで聖域であった「旅客運送」に対して厳しい監査のメスが入ったのです。
しかも、業界4位の大手タクシー会社に対してです。
ということは、一般生活者のインフラとして直接関係しないトラック運送会社に対しては、簡単に営業停止や許可取消し等の厳しい行政処分をしやすくなった、ということなのです。
特に「長時間労働」はトラック運送会社にとって他人事ではありません。
先日、私の顧問先の運送会社に労基署が監査に入りました。
その後、労基署が国交省に通報し、巡回監査を受けることになりました。
ところが、結果は「警告」のみで、車両停止にすらなりませんでした。
なぜなら、その社長は前回の監査で指摘された労働時間について、すべてではありませんが、改善できるところは改善していたからです。
さらに運輸安全マネジメントの導入もしており、安全教育や健康診断等の安全管理もしっかりと実施したのです。
国交省の担当者からも、労働時間も前回よりは改善されているし、その他の安全管理については、よくできている、と言われたそうです。
同じ監査を受けても、やはり、このような真摯な姿勢で安全管理に日頃から取り組んでいる社長は今回のように無傷で終わるということがよく分かります。
いかかですか?
日頃からの安全管理の重要性をご理解頂けましたでしょうか?
『社長が裁判員として、自社の安全管理を審査したとき、無罪または執行猶予にできる状態になっていますか?』
これが社長に対する今回の私からの質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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