メディア連載一覧

第28回 "社会保険の加入"は品質が劣るドライバーをふるいにかけるフィルター

中小運送会社の社長力

前回の続きで10月からの監査方針と行政処分の強化のお話です。
今回は「社会保険の未加入」についてです。
9月までは一部未加入で初回は「警告」、再違反で20日間の車両停止処分でした。
ですから、事業者の中には応急措置として、とりあえず1人か数人を社会保険に加入させておくケースが多々ありました。
ところが、10月以降は一部未加入の場合でも初回から10日間の車両停止処分になってしまいます。
ところで社会保険の未加入問題については、さまざまな意見があります。
会社のコストが増えた分を荷主が運賃に上乗せしてくれない。
自分たちが年金を受け取るころには支給年齢が引き上げられ、しかも支給額も減らされるからばかばかしくて入りたくない等々。
言い出したらキリがありません。
ただ私がコンサルティングしていて思うことは、やはり社会保険に加入している運送会社のドライバーさんのほうが、加入していない運送会社のドライバーさんよりも品質レベルが高い傾向にあります。
なぜでしょうか?
おそらくドライバーの人生に考え方の違いが仕事に反映するからだと思います。
例えば、未加入でよいと考えるドライバーとは、極端に言えば
「社会保険なんか入りたくない。今の手取りが多ければいい。」
という刹那的で今さえよければいいという生き方をしているということです。
一方、加入しているドライバーは
「社会保険に加入しておけば、年をとった時に少しは安心だし、万が一障害を負った時も障害年金である程度手厚く保護される。」
という自分や家族のことを真面目に考えた生き方をしているということです。
どちらのドライバーが運転時に安全な運転を心がけるでしょうか?
「社会保険の加入」について、お上から強制されたルールと捉えるよりも、自社に"侵入"しようとする性質の悪いドライバーを振り落とす「フィルター」と捉えてほしいのです。
先日お会いした社長さんが
「事務所をコンテナハウスからしっかりとした建物に移転したら、事務員でもドライバーでも今までいなかったようなレベルの高い人材が入社するようになった」
と言っていました。
やはり、汚い身なりで私を信用して下さい、と言ってもなかなか人は信用してくれないということです。
「社会保険」も会社の身なりの1つです。
ひょっとしたら、まずは会社の身なりをチェックすることからスタートしたほうが良いかもしれませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

お問い合わせ・ご相談はお気軽にご連絡ください
052-212-8708
お問い合わせ