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第33回 社長にモノ申すブレーンはいますか?

中小運送会社の社長力

ココ最近立て続けに同じような相談がありました。「死亡事故を起こしてしまったのだが、どうしたら良いのでしょうか?」という相談です。この場合、相談された運送会社は2つのパターンに分かれます。1つ目は、最近の運輸監査が厳しくなっていて、それに対して適切な対応をしなくては大変なことになる!と真剣に思い悩んで相談にくるケースです。このケースは話が早く、早急に事故に対する原因分析を行い、再発防止策を講じる。そして運輸安全マネジメントの「臨時内部監査」を実施し、会社全体の安全管理体制を見直します。社長さんもコンプライアンスの重要性についてよくご存知で、点呼記録や運転日報などの帳票類もある程度整備されていることが多いです。あとは法的に問題ないように細部を正していくことになります。このような運送会社はまだ大丈夫かなと思ったりします。問題はもう1つのケースです。それは、社長さんが現在の運送業界における行政処分の状況やコンプライアンスに疎いケースです。
この場合、良かれと思って私もいろいろと説明をさせていただくのですが、社長さんには今1つピンと来ないようなのです。そういう社長さんがよく言うセリフは「役所は会社を営業停止にすることなんかできないよ。そんなことしたら従業員やその家族が路頭に迷っちゃうじゃないか」とか「対面点呼なんか、どこの運送会社だってやっていないから大丈夫だよ」といった楽観的、私から言うと絶望的なことを言っているのです。この運送会社の社員は本当に気の毒だな、と思います。私がコンサルティングをしていてつくづく思うのは、社長さんの経営判断って本当に重要だなということです。いくら管理者やドライバーが頑張っていても、社長さんがしっかりとした経営判断できない会社が衰退に向かっているのがよく分かるからです。特に中小運送会社の場合、社長=株主であることがほとんどのため社長さんの経営に物申す人間はいません。こう考えると中小運送会社が間違った方向にいかないようにするためには「社長が暴走できない仕組み」を作るのが重要だということが分かります。例えば手前勝手ですが、ズバッと意見をいうコンサルタントをブレーンにもつ、という方法も1つです。やはり社長さんに対して真剣に意見を言う相手。これがいるのといないとのとでは経営判断において雲泥の差が出るように思います。「社長、自分に物申すブレーンは身近にいますか?」これが今回の社長さんに対する質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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