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第35回 会長の目を気にする二代目社長

中小運送会社の社長力

2代目社長さんとお会いした時のことです。ある元請運送会社の担当者のご紹介でお会いしました。先代はまだご健在のようですが、経営にはほとんとタッチしていない状態でした。お会いした目的は協力会社のリーダー的存在であるその会社に運輸安全マネジメントを土台とした安全管理体制の要請をすることです。60分以上の時間をかけて「なぜ、今、中小運送会社としても安全管理が重要なのか?」についてご説明をしました。出席者の中には若手管理者もいて、熱心にメモを取りながら話に耳を傾けてくれていました。ところが話し終えて「どうですか?社長」と投げかけたところ、思わぬ答えが返ってきたのです。それは「家族会議をしないと決められない」という言葉です。私は耳を疑ってしまいました。なぜなら社長が「家族会議をしないと決められない」という発言を管理者のいる席でしたからです。私が若手管理者なら愕然としたでしょう。うちの社長はこんな人なのか!と。この社長にこの先長い自分の大事な人生を託すのは危険だな。そう思ったに違いありません。たとえ2代目の若手社長であったとしても、あまりに頼りなく、魅力のない言葉ですから。その2代目社長は、おそらく父である先代や母に対して自分の意見をハッキリ主張できなのでしょう。おそらく先代はよくある押しの強いワンマンで怖いのでしょう。しかし、です。私はあえてその2代目社長に言いました。「社長!この会社をこれから何十年に渡って経営していくのは社長である"あなた"ですよね。大変失礼ですが、先代が今後何十年に渡って会社を経営できるとは思えません。ならば、ご自身の考えをもっと強くもって、自分が正しいと思ったならば、たとえ先代に怒鳴られようが絶対に譲らない信念をもって主張すべきではないんですか!」と。私の話に若き社長さんがどのように感じたかは今のところ分かりません。ただ言えるのは2代目社長は先代と違い「個人商店」から「会社経営」に会社を変革していかなければ事業の存続は難しいということです。会社変革のために必要なこと。それは中小運送会社の盛衰は"社長"ですべて決まる、という厳しい現実です。どこかで両親に甘える気持ちがあるようでは(先代の言いなりになることや先代にはっきり意見を言えないことも甘えです)とても会社存続は不可能でしょう。「社長は何のためにこの仕事を一生やっていこうと考えていますか?」これが今回、2代目の若手社長さんに対する私の質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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