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第37回 厳しい安全規制をウェルカムと思う社長

中小運送会社の社長力

前回「呼出監査」を受ける運送会社の例として、地方実施機関の巡回指導(いわゆるトラック協会の指導)の結果、悪質な法令違反の改善の指導を受け、評価が悪かったにもかかわらずその後の改善が確認できない場合があることをお話しました。
実は最近、この巡回指導が以前と違い、かなり厳しくなってきました。誤解を恐れずに言えば、今までの巡回指導は少し指導するだけであとはお茶を飲んで帰っていく、という感じでした。
ところが、ここ最近の巡回指導はかなり突っ込んだ内容まで指摘するようになってきました。具体的には、対面点呼ができていないこと。運転日報の記載が不適切なこと。健康診断や適性診断(初任診断や適齢診断)を受診させていないこと。労働時間や連続運転時間違反があること。安全教育は12項目が実施できていないこと。就業規則が変更されていないこと。
その他・・・。ですから昔の巡回指導に慣れた社長さんの中には、あまりの細かい指摘に怒り出す人さえいます。「お前たち、俺たちの会費で生活しているのに偉そうなことを言うな!」と。この言葉を吐く社長さんの気持ちも分からないではありません。しかし今の時代の流れを熟知し、今後の経営戦略をしっかり考えている社長さんならそうはならないでしょう。なぜなら巡回指導が厳しくなることぐらいは「想定済み」だからです。たかが「巡回指導」でイライラして指導員に噛み付くようでは負け犬です。私の顧問先の社長さんの中にはもっと厳しく監査や行政処分をやってほしい、と言っている方すらいるのです。これは当然のことなのです。なぜなら、せっかく「安全最優先」で経営している優良な運送会社があっても、過積載や過労働、果ては社会保険未加入によるコスト削減を運賃値下げに利用する運送会社がいると、いつまで経っても運送業界はよくならないからです。このような悪質な運送会社がいる状態では、「もっと安い運賃の運送会社がある」という荷主の圧力に屈しやすく、いつまでも荷主に対する隷属的な状況から脱却できません。しかし、ようやく10月から過去最高に厳しい行政処分に改正されたことで悪質は運送会社が排除される環境が出来上がりました。これからは安全管理に力を入れている運送会社が生き残る時代です。「安全規制。大いに結構!と、心の底から思えますか?」これが今回の社長さんに対する私の質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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