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第38回 延着ゼロの徹底は必ずしも安全にあらず!

中小運送会社の社長力

関東地区で観光バスのひき逃げ事故がありました。
報道によりますと
「何かにぶつかった感覚があったが、客を迎えに行く途中で急いでいたので、そのまま行ってしまった」
とドライバーが供述しているようです。
結論から言えば、おそらくこの観光バス会社は
「7日間の営業停止」になる可能性があります。
もっともドライバーに対する安全指導監督を適切に実施していた、と国土交通省に認められれば営業停止にならない可能性はあります。
しかし、その可能性はかなり低いと思います。
なぜならドライバーの違反内容が「ひき逃げ」であり、なおかつドライバーの先ほどの供述があるためです。
「何かにぶつかった感覚があったが、客を迎えに行く途中で急いでいたので、そのまま行ってしまった」
この供述をするドライバーがいる、という事実。
これでは
「運送会社がドライバーに安全指導監督を適切にしている」
とは絶対に思われないでしょう。
今回の事故はこれからの運送会社のドライバー教育について
大変重要なことを学ぶことができます。
それは、安全教育や指導を運送会社が本当に実施していると認めてもらうためには、
ドライバーの供述や運転の仕方に教育指導結果がある程度反映していないといけない
ということです。
ただ単に安全教育をやればいいというわけではありません。
ある程度ドライバーが理解し、日頃の業務に活かすことができているかのチェックまでする必要があるということです。
よくトラックドライバーの品質レベルとして「延着ゼロ」という指標が使われます。
しかし「安全」という視点から改めて見つめ直すと、この指標が逆に"事故を誘発する原因"であることが分かります。
ひょっとすると、今回の観光バス会社も「延着」ということに対して
ドライバーに厳しい罰則があったばっかりに、ドライバーの判断を狂わせてしまったのかも知れません。
「延着ゼロ」必ずしも"善"ならず。
ここまでくるとドライバーだけの問題ではありませんね。
安全第一"と言いながら、「延着」による厳しい罰則を作っていませんか?
その罰則が怖いばかりに眠い目をこすりながら運転しているドライバーはいませんか?
これが今回の社長さんに対する私の質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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