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第42回 "せっかち"はドライバーの教育指導では厳禁!

中小運送会社の社長力

これまで約14年間、運送会社の社長さんとお会いしてきて感じた共通する性格があります。
それは"せっかち"な方が多いということです。
私はこの"せっかち"な性格というのはある意味、経営者として必要な才能だと思っています。
特に運送業の場合、延着など時間を厳守することが重要な業務ですのでなおさらですよね。
のんびりしているドライバーや運送会社がいるとすれば、とても頼りなく見えるはずです。
ただ、そうは思いつつも最近、この"せっかち"な性格が『あること』をする上で意外に大きな問題となっているのです。
この『あること』とは、安全管理体制の構築です。
安全管理体制を構築する、ことは非常に時間がかかることです。
さらに、"売上"や"利益"といった成果が分かりません。
その結果、
「ドライバーに安全教育をする時間があるんだったら、もう1本走らせろ!」
「会議をしている暇があるんだったら、もっと効率よく配車をしろ!」
このように思う社長さんが多いのです。
まさに、"せっかち"な性格がなせる業です。
この社長さんの"せっかち"を管理者やドライバーは敏感に感じ取ります。
そうすると、もう「安全管理の構築」どころではなくなってしまいます。
結局いつまで経っても「安全管理体制」が構築できないままの状態になります。
私が管理者の方とコンサルティングをしていて「困ったな」思うのが、この社長さんの"せっかち"という名の無意識の圧力なのです。
この圧力は
「延着を恐れるあまり、スピード違反や連続運転時間を容認する」ことにもなりかねません。
「仕事を優先するあまり、新人ドライバーにろくに安全教育をせずにすぐに乗務させる」ことになるかもしれません。
これらは、すべて社長さんの"せっかち"が原因です。
やっぱり桜は春に咲くのが正しいし、自然です。
それを冬に強引に咲かせようとしてはいけません。
技術の進歩でいろいろなモノが季節に関係なく生産できるようになっています。
しかし、こと「安全管理」は違います。
なぜなら、安全管理はどうしても最後は"人"が関わらずにはできないからです。
そして人を育てるにはどうしても時間がかかるのです。
「社長のせっかちで、安全管理体制の構築が台無しになっていませんか?」
これが今回の社長さんに対する私の質問です。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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