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第43回 平成20年度に初の"減少"!32年間増加し続けた運送事業者数が減少した背景とは?

中小運送会社の社長力

先日、運送事業者数の推移に関する統計が発表されました。
昭和50年度〓平成20年度までのデータです。
これによりますと、昭和50年度は約3万社。
その後、平成元年で約4万社になりました。
そして、平成元年の規制緩和を皮切りに急増し始めます。
ついに平成19年度には約6万3千社までに増加しました。
ところが、です。
ついに、昭和50年度から32年間増加し続けた運送事業者数が
平成20年度に"減少"に転じたのです!
おそらく21年度は減少幅が大きくなることでしょう。
このことは何を意味するのでしょう?
いよいよ本格的に運送会社「淘汰の時代」が始まった!ということを意味します。
先日も中部地区の運送会社が14日間(29台)の営業停止になりました。
実はこの処分のキッカケは
「たった一人のドライバーの酒気帯び運転」の発覚なのです。
それによって
a.社会保険全員未加入
b.運行指示書の作成、指示、携行、保存義務違反
c.点呼未実施・記録義務違反
d.運転日報の記載不備違反
e.拘束時間違反
f. 健康診断未受診
g.安全教育未実施。
以上の法令違反で違反点数53点が付与され、累積違反点数は62点となりました。
違反内容で一目瞭然。
長距離運行(3日運行)をしている運送会社です。
そのため健康診断やドライバー教育をする時間を確保できない。
教育ができないため運転日報の記載不備についてもドライバーに教育できない。
点呼は当然のようにできない、という状況に陥っています。
トドメは「社会保険全員未加入」です。
原則3ヶ月以内に"全員加入"をしないと再び車両停止処分を受けることになります。
ただでさえも、14日間の営業停止を受けて経営的にかなり圧迫されるはずです。
しかし社会保険加入は待ったなしです。
大雑把に計算しても平均給与が25万円とすると1人あたり月額約3万円の会社負担となります。
30名加入すると、3万円×30名×12ヶ月≒約1000万円の会社負担となります。
経営を継続していくことが困難になるのが分かります。
このようにして半強制的に廃業や事業縮小を余儀なくされ、
運送事業者数が減少していく。
今回の統計データと行政処分事例は、
『安全管理を怠った運送会社』がどのような道を辿っていくかを
明示したものではないでしょうか?

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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