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ドライバー定着に必要な”魅力的な目的地”

「まず考えるべきは、スケジュールではなく、チームをどこに連れて行きたいか。つまり目的地だ」。

日本ラグビー界を世界トップ10のレベルにまで成長させた名将、エディー・ジョーンズの言葉です。

20数年以上、運送会社をコンサルティングしてきて思うこと。
それは“目的地”をはっきりさせないで経営している社長が多いことです。

「違法な労働時間をなんとか改善したい」。
「点呼をもう少し実施できるようになりたい」。
「安全教育にもう少し時間をかけたい」。

運送業界は安全規制が厳しいため、どうしても喫緊の法令遵守に時間とお金を費やしがちです。

どの運送会社も初めは同じ。
法令遵守をするための改善を重点的に行います。
ところが数年すると経営者間で大きな差が出ていることに驚きます。

法令遵守で満足してしまうタイプ。
その一方で、ドライバーの労働環境を更によくするために次なる策を考え、実行するタイプ。
この2つに見事に分かれてしまうのです。

この違いは、経営者の“目的地”の違いです。
もっといえば、経営者の目的地の“レベル”の違いです。

今なら1ヶ月293時間以下の拘束時間や1日16時間以内の拘束時間を守っていれば、
労働環境の整ったそこそこの運送会社でしょう。
今なら1ヶ月80時間以下の時間外労働時間を守っていれば、
運送業界ではまあまあの運送会社です。

あくまでも“運送業界”という狭い世界での優位性にすぎません。

労働者の視点からは、以前として運送業界は長時間労働で魅力のない業種に映ります。

経営者が“どの視点”で目的地を考えているかが問われるところです。

運輸安全マネジメントでは“安全目標”を設定することになっています。
ただ、安全目標は“指標”に過ぎません。
安全目標を達成したところで、わくわくするような魅力的な結果は訪れません。

「自社をどんな運送会社にするのか」という“目的地”ではないからです。

ドライバーをやる気にさせる。
若い人が入社したくなるようにする。
荷主に運賃値上げを承認させる。

これらの取り組みは、法令を守るのと同じくらい大切なものです。

今いるドライバー。
これから入社しようとしている求職者。
彼らに対して、どんな“魅力的な目的地”に連れて行くことを約束できるか。

“魅力的な目的地”という土台をしっかり固めること。
これこそドライバー募集する社長の作法ではないでしょうか。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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