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運送会社を改善したければ「反復」を軽視しない

点呼

「変化とは反復を繰り返すことだ」。
日本を代表する芸術家、横尾忠則の言葉です。

「反復は同じことを繰り返すこととは違うのだ」とも付け加えています。

取り憑かれたように富士山ばかりを一生描き続ける画家がいます。
同じ対象ばかりを描いていて飽きないのかと私のような素人は思ったりします。
でも、描いている画家は毎回、違ったものが見えるのでしょう。
違ったことを感じるのでしょう。
一生を賭けて、いやそんな意識すらもなく、描き続けます。
同じ対象を描き続けるからこそ、「今度はもっとこう描こう!」という意欲が湧いてきます。

運送会社の安全管理も同じです。
毎日、同じように点呼を実施します。
確かに何の変哲もありません。
ただ、この繰り返しで同じドライバーを毎日のように観察することで気づくことが出てくるのです。
逆に、毎日、ドライバーごとにその表情や声音、仕草を観察していなければ、
いつもと違う変化に気づくことができません。

例えば、いつも元気な表情のドライバーがそうでなくなってきた時。
例えば、いつも物静かなドライバーが妙にハイテンションな時。
例えば、いつも元気なのに、眠そうな表情をしていた時。

こういう変化に気づくことが点呼では一番重要です。
法令遵守が厳しくなったため、どうしても点呼記録を作成することばかりに目が行きがちです。
やはり重要なのはドライバーとのコミュニケーション。
いかに普段のドライバーの状態(表情、声、仕草など)を点呼者がインプットしているか。
いつもと違うシグナル(変化)を見逃さないために大切なことです。

「ドライバーが急に辞めると言ってきました」というご相談を受けます。
よくよく考えると、もう少し前から“前兆”はあったかもしれません。

経営者や点呼者がいろんなドライバーと会話を日頃から積み重ねていれば、
もしかすると情報をキャッチできた可能性が高いのです。

冒頭の「変化とは反復を繰り返すことだ」という言葉の意味。
それは、
「変化に気づくためには、日頃から同じ行為を反復することが重要だ」
と言い換えることができます。

画家にとっての反復は、描きたい何かに気づくためでしょう。
点呼者にとっての反復は、ドライバーの異変(疲労、疾病、睡眠不足)に気づくためです。

運送会社の経営者にとっての“反復”とは何でしょう。
何を反復するかで、経営者の将来も大きく変化するのかもしれませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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