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運送会社に与えられた”3種の神器”

運賃値上げ

参入規制の強化、荷主への圧力、標準運賃の告示。
“三種の神器”は揃いました。

2018年12月、貨物自動車運送事業法の改正法案が可決されました。
ついにここまできたか、というほどのスゴイ内容です。

キーワードは「違反原因行為」。

例えば、拘束時間や休息期間等が守れない原因が
“荷主都合”による待ち時間である場合が当てはまります。

国土交通大臣は、荷主が「違反原因行為」をしている“疑い”がある段階で厚生労働大臣に対して、
その情報を提供できるようになります。

国土交通大臣は、荷主に対し、
運送会社が拘束時間等を守れるように配慮するように
要請することもできるようになります。

要請したにも関わらず、
荷主が「違反原因行為」をしていることを“疑う”に足りる相当な理由があると認められる場合には、
伝家の宝刀である「勧告」をすることができるようになります。

勧告と同時に「社名公表」をすることになっていますので、
大手荷主にとってはかなりの企業イメージダウンになるのは間違いありません。

勧告をされたことに腹を立て、
不公正な取引を運送会社に対して行う荷主がいれば
公正取引委員会に通知される、というおまけ付きです。

それともう1つ忘れていけない改正の目玉。
それが「標準運賃の告示」です。

荷主に圧力をかけてもらい、拘束時間等の改善はできた。
だけど拘束時間が短くなった分、売上も減ってしまった。
これでは元も子もありません。
その抑えとして「標準運賃の告示」が2020年中には告示される予定です。

目的は、ドライバーの労働条件の改善、運送会社の健全な経営の確保です。
規制緩和で運賃が完全に形骸化し、無秩序な状態になってしまいました。
社会保険未加入や長時間労働による法令違反をして、
不当に安い運賃で既存の運送会社から仕事を奪う事業者が後を絶ちませんでした。

“荷主の言い値”が通ってしまう異常事態になっていたのです。
最近でこそ、ドライバー不足で運賃値上げが少しできるようになりました。
それでもまだまだドライバー募集する際に魅力的な条件を提示できるまでには至っていません。

今回の法改正は、労働時間の短縮と適正運賃の確保をセットで担保するのが最大の狙いです。

「労働時間が短縮したのだから、運賃をまけろ」
この圧力に対して、
逆に「標準運賃」と「荷主勧告(社名公表)」をちらつかせながら上手に運賃値上げをすること。
今まさに運送会社の経営者に求められる重大な役割です。

ゆっくりと構えてはいられません。
なぜなら5年間の時限措置だからです。
現時点では2024年3月31日で消滅してしまう制度です。

運送会社はこの5年間が正念場。
せっかく手にした三種の神器。
生かすも殺すも社長次第ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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