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健康起因事故の対処法を考えておくことも運送会社の危機管理

運送会社の危機管理

先日発生した路線バスによる死傷事故。
原因は、ドライバーの“睡眠時無呼吸症候群”による意識消失と言われています。

事故を起こしたドライバーは、毎月通院をし、
医師から就業可能の意見をもらっていた、とのことです。
それでも警察の家宅捜索や運輸局による監査は入られます。

健康起因事故で大切なのは、事故前のドライバーの状態の説明です。
一番分かりやすいのは、車内ドラレコ映像です。

いかんせん重大事故を起こすと安全管理の不手際をまずは疑われます。
いかに早い段階で払拭できる証拠資料を報道機関に公表できるか。
運送会社のリスク軽減策として必要なことではないでしょうか。

この点で過去に迅速な対応をして、
風評被害をほとんど出さずにすんだバス会社の秀逸な事例があります。

ご記憶の方も多いかと思います。
東名高速の新城パーキング付近で起きた、貸切バスと乗用車との衝突事故です。
衝突事故といっても、対向車線を走行していた乗用車が中央分離帯を飛び越えてバスに衝突した事故です。

ただ、報道を聞いただけでは、バスと乗用車のどちらに過失があるのか分かりづらかったのです。
ところが、このバス会社は迅速かつ適切な対応をしました。

中央分離帯を飛び越えた乗用車がバスに衝突する映像を、自社ホームページや報道機関に公開したのです。
ドラレコ映像が早期にテレビで公開されることで、風評被害はほぼ起こりませんでした。

バス会社の秀逸な点は2つ。
1つ目は、映像が現場から会社にすぐにデータ送信される最新型のドライブレコーダーを導入していたこと。

2つ目は、そのデータを迅速に世間に公開したこと。

大手ではなく中小規模のバス会社であったことも驚きです。

いまやトラックドライバーの平均年齢は50歳に届こうとしています。
睡眠時無呼吸症候群は男性ドライバーの約10%の割合でいるという統計も公表されています。

高血圧や高血糖が原因で脳、心臓疾患を発症して事故を起こす事例が増えています。

万が一の時、どれだけ迅速かつ正確に自社の健康管理の取り組みを社会に公開できるかどうか。
事故発生前後のドラレコ映像を公開したほうが良い場合には、手際よく実行できる体制であるかどうか。

ドライブレコーダーの目的は事故原因分析や再発防止策だけではありません。

たとえ“就業可能”の医師の意見に基づき運転させていたとしても、
健康起因の事故は起きるときは起きます。
その時の対処法を平時に考えておくこと。
風評被害で自社の信用を落とさないための重要な危機管理の1つですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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