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荷主が運送会社に選ばれる時代

ブランディング

「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」。

太陽の塔、「芸術は爆発だ!」で有名な芸術家、岡本太郎の言葉です。
常識を常に疑い、ぶち壊すことで新たな価値を生み出す。
芸術家ならずとも、経営者にも必要なことです。

これまでの商売の常識。
それは“お客様は神様”です。
これが度を越すとロクなことになりません。
コンビニ店員に土下座させた事件を思い起こします。

運送業界も長年にわたり、“荷主様は神様”でした。
少し改善されつつありますが、未だに勘違いしている荷主もいます。

「荷主を出禁にする運送会社があってもいいじゃないか」。
岡本太郎なら、そう言い切るに違いありません。
まるで“マナー知らずのお客”を出禁にする鮨屋の大将のように。
“お客様は神様”という世間の常識とは真逆の世界です。

“マナー知らずの荷主”はまだまだ存在します。
平気で何時間でも料金ゼロでドライバーを待機させる荷主。
拘束時間や休息期間を配慮しない配送を強制してくる荷主。
荷降ろし現場でドライバーを雑に扱う荷主。
人件費が高騰しているにもかかわらず運賃値上げを認めない荷主など。

しかし、国が成熟してくると、風向きが変わります。
これまでの常識が通用しなくなります。
お客だから好き勝手に言える時代ではなくなります。

なにも鮨屋の大将だけではありません。
運送会社やドライバーに対しても好き勝手な依頼はできなくなるのです。

先日、厚生労働省が作成した労働施策基本方針案の全容が報道されました。
ポイントは、人手不足が指摘される中小企業に対し、
労働環境の改善を促しても是正しなかったり、過労死を生じさせたりするなど悪質な長時間労働があった場合は、
書類送検などで厳正に対処する点です。

ただし、救いもあります。
商慣行の見直しや取引条件の適正化に向け、関係省庁が連携することが盛り込まれてあるからです。

働き方改革は、運送会社だけでなく荷主にもプレッシャーがかかる仕組みです。
運送会社が荷主との交渉材料で使わない手はありません。

運送会社の経営者が経営改革のためにどう調理するのか。
荷主に対してどう働きかけていくことができるのか。
腕のいい経営者なら、運賃値上げというご馳走を作ることができるはずです。

鮨屋の大将のような運送会社の経営者がもっと増えると、ドライバーになりたい人も必ず増えます。

「荷主を出禁にする運送会社があってもいいじゃないか」。
これこそが“運送版”働き方改革の要諦ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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