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「継続は力なり」の適性診断

ドライバー教育

「このドライバーがよく事故を起こすんです」
ある運送会社の社長さんからのご相談です。

早速「運転適性診断結果」を確認することにしました。

やはり予想どおり。
点数がひどかったのです。
「危険感受性」に関する評価が「0」点。

実際、事故後の面談はどのような感じだったのでしょうか?

社長さん曰く、
明らかに車両が走行していて気づくはずなのに、
当の本人からは
「はぁ、確かに車両がいますね」
「運転している時には全然気づきませんでした」
と似たような話が事故のたびに続いているようなのです。

運転適性診断の活用方法は3つ。

1つ目は、ドライバー採用可否の判断材料。
できれば、雇い入れる前までに受診させ、自社の指導で改善できるレベルかどうかを確認し、
無理そうな場合は雇わないことです。

2つ目は、ドライバーの安全運転に関する指導材料。
ドライバーごとに弱点を把握し、個別のきめ細かい指導に活用します。
自分の適性診断結果を覚えているドライバーはほぼいません。
受診後、次の受診までの期間、
「あなたは○○のような問題となる運転傾向がありますが、この数ヶ月の運転を振り返ってどう思いますか?」
と、問題となる運転傾向を自覚させる個別指導を定期的に実施すること。
まずはここからスタートですね。

3つ目は、ドライバーの運転業務継続の可否判断。
このまま運転業務をさせていたら、いずれ事故を起こす可能性が高いドライバーに対しては
適切な就業上の措置を行う必要があります。

冒頭の「危険感受性0点」のドライバーはこの3つ目に該当します。
運転適性がない人はいます。
もはや指導レベルでは改善できない状況。
その見極めを経営者は冷静に行う必要があります。
さもなければ重大事故を引き起こし、経営上、深刻な事態に陥ることにもなりかねません。

そのために運転適性診断を1、2年に1回、継続して実施することが重要です。
“経年変化”に気づくことができるからです。

自動車事故対策機構(NASVA)で行われている適性診断では、次の5つの運転傾向を知ることができます。
1.危険感受性
2.注意の配分
3.動作の正確さ
4.安全態度
5.判断・動作のタイミング

ある運送事業者の死亡事故を起こしたドライバーの診断結果では
1.危険感受性(10点/100)
2.注意の配分(22点/100)
3.動作の正確さ(37点/100)
と、他のドライバーと比較すると、著しく低い点数でした。

さらに、経年変化の視点から分析すると
1.危険感受性(53点→10点)
3.動作の正確さ(80点→37点)
と“死亡事故の5ヶ月前”の診断で急降下していることが判明していたのです。

この時点で適切な指導や適切な就業上の措置を講じていたらと考えると、とても悔やまれるところです。

運転適性診断は一喜一憂するものにあらず。
“継続受診”して“経年変化”に注目すべし。

“継続は力なり”。
これは運転適性診断にも通じる真理ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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