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滅多にないからこそ、いつも教育しよう

ドライバー教育

停車から事故までの27分間の不手際です。

数年前、徳島自動車道で路肩に停車中のバスに大型トラックが追突し、
バスはガードレールを突き破り、6m下の法面に転落する事故がありました。
バスの運転士と乗客の女子高校生の2名が死亡、2名重傷、12名軽傷という痛ましい事故でした。

トラックドライバーの居眠り運転が直接の原因です。

事業用自動車事故調査報告書では“バス運転士”の安全対策の問題点についても指摘されています。
バスが車両故障を起こし路肩に停車した後の“適切な措置”。
これが行われていれば事故の被害拡大を防止することができた可能性が考えられる、という内容です。

高速道路上で車両故障等が発生した場合の安全対策の手順は次のとおりです。
1.非常点滅表示灯で合図しながら、車両をできる限り路肩に寄せて停車
2.発煙筒を点火して車両後方に設置
3.停止表示機材を車両後方に設置
4.乗客、乗員は車両より後方でガードレール等の外側の安全な場所に避難
5.警察、道路公団等に車両停止の状態、避難状況を通報し、指示に従う
6.最後に会社に連絡

ポイントは上記1から6までの“順番”です。

実際、車両故障が発生し路肩に停車した後、
あろうことか27分もの間、バス運転士は勤務先と通話したり、車両の様子を見に外に出たりしていました。
その間、非常点滅表示灯のみの措置しか行われていなかったのです。

もし、27分の間に、乗客を安全な場所に避難させていたら
尊い若い命を失うことはなかったでしょう。

もし、勤務先ではなく警察や道路公団への通報が早かったら、
電光掲示板での後続車への注意喚起ができ、トラックドライバーも故障車に気づいたかもしれません。

対策として、まず、高速道路上で車両故障等が発生した場合の「対応要領」を作成することが必要です。
ドライバーに「対応要領」を説明するだけでなく、
正しい順序に並び替える「テスト」を実施することで正しく理解しているかの確認をします。

さらにドライバーと運行管理者で「対応訓練」を実施すればドライバーの記憶に深く残ります。

バス会社の運行管理者は、事故調査委員会のヒヤリングで次のように供述しています。
「これまで高速道路上で車両故障が発生したことがなかったので、パニック状態になり、バス運転士に適切に指示ができていなかった」。

滅多に起きないことだからこそ、日頃の安全教育の有無で結果は天と地です。

高速道路上で車両故障が発生した場合の対応手順の教育。
たったこの教育1つで、救えた命があったことを忘れてはいけませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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