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ドライバーのプライバシーvs運送会社の責任

ドライバー教育

「プラバシーの侵害と法的根拠がないという理由で、
 運転記録証明書の取得を拒否するドライバーがいます。どうしたらいいでしょうか?」

こんなご相談がありました。
読者のあなたなら、どうされるでしょうか?

新規雇用ドライバーに対して、運転記録証明書の取得義務があることはご存知かと思います。
ただ、本当は取得するだけではダメなのです。

自社の事業用自動車に乗務させる前3年以内に
「事故惹起運転者」に該当する事故を起こしていないの確認が必要になります。

「事故惹起運転者」とは、
自家用か事業用かを問わず、
過去3年以内に死亡事故や重傷事故を起こしたドライバー、
または
過去3年以内に2回以上の軽傷事故を起こしたドライバーのことです。

該当した場合には、
特定診断(ⅠまたはⅡ)の受診と6時間以上の特別指導を実施することになります。

未受診や未実施の場合には、
最大20日の車両停止処分になりますので注意が必要です。

仮に「事故惹起運転者」に該当しなくても、
運転記録証明書で判明した事故違反内容に応じた個別指導を行う必要があります。

では、新規雇用ドライバーではなく、
在籍中のドライバーの運転記録証明書を運送会社は取得してはいけないのでしょうか?

答えは、ノーです。

新規雇用ドライバーと同じく、
自家用か事業用かを問わず、
過去3年間で死亡事故や重傷事故を起こしていないか、
過去3年以内に軽傷事故を2回以上起こしていないかを
把握する必要が運送会社にはあるからです。

お気付きの方もいるかと思います。
「自家用か事業用かを問わず」がポイントです。

自家用車の事故は、運送会社は把握できません。
ここに「運転記録証明書」を定期的に運送会社が取得する理由があるのです。

運転記録証明書の取得を拒むドライバーには、次のように諭しましょう。
「もし、事故惹起運転者に該当していたにもかかわらず、
適性診断や特別指導を運送会社が実施できず、20日の車両停止を受けた場合、
停止による営業損失や行政処分を受けたことによる会社の信用失墜を、どのように補償することができますか」と。

運転記録証明書を他人に見られても恥ずかしくない運転を日頃から心がけるのが、プロドライバーです。

ドライバー教育12項目のトップが
「事業用自動車を運転する場合の心構え」になっています。

“プロ魂”を教え込むことが、ドライバー教育の最優先かつ最重要事項ということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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