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バレると大変なことになる運輸監査でのウソ

国土交通省の監査

「改正前でよかった、と言ってはおかしな話ですが…」
監査終了後に、ある運輸局の監査官から言われた言葉です。

本年7月から行政処分基準が強化されました。

6月に実施された冒頭の監査。
監査対象期間は重大事故前1ヶ月間(12月)と監査前1ヶ月(5月)。

監査で指摘された項目はざっと10項目。

この中で特に注目すべきは点呼違反でした。
指摘されたのは「点呼記録の不実記載」。

社長1名が運行管理者としてすべてのドライバーの点呼を実施したことになっていたのです。

「対面点呼と記録していますが、実際は未実施のものもありますよね」
監査官からの断定的な質問。

それもそのはず。
点呼記録上の社長が点呼した時間帯を調べると、ほぼ睡眠時間がないからです。
しかも自宅兼営業所でもありません。

社長が「点呼をやっています」と言い切れば、おそらく「虚偽の陳述」となり、最も厳しい30日の営業停止処分になります。

社長が「点呼記録の不実記載」を認めたので「30日車」の行政処分が追加されることに。
仮に、同様のことを7月以降に行うと、なんと2倍の「60日車」の行政処分となります。
「改ざん、不実記載」は7月から厳しくなりました。
安易に考えて“嘘の記録”を作成すると大変なことになります。
例えば、あるドライバーの労働時間を短く見せようと企んだとします。
点呼記録からそのドライバーを削除します。
すると、気づきます。
乗務記録があるとバレちゃうな、と。
乗務記録も他人が乗務したことにします。
あるいは、誰も乗っていないことにします。
さらには、タコグラフも他人が乗務したことにしたり、誰も乗っていないことにします。
これだけで、「点呼記録、乗務記録、タコグラフ」の3つの改ざん、不実記載の違反になります。
60日車×3件=180日車。
30台以下の営業所であれば、ほぼ半分のトラックが同時に車両停止処分になる危険水域の違反です。

ちなみに今回の監査で予想される行政処分は「150日車」の車両停止処分。

改正“前”の行政処分基準が適用されますので、3両、50日間の同時車両停止処分となる可能性が高いです。

仮に改正“後”の行政処分基準で計算すると、どうなるでしょうか?
大雑把に計算すると、11台、約14日間の同時車両停止になります。

車両総数は22、3台ですので、半分の車両が2週間前後、使用不可。
“1/2営業停止”といってもよく、経営上、相当なダメージになります。

嘘は“半分やばい”営業停止の始まり!

政治家であろうと、夫婦関係であろうと、
“たった1つの嘘”が深刻な事態を招く、ということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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