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「事故記録」から崩しにかかる運輸監査

国土交通省の監査

「事故記録」から法令違反がざっくざく、です。

ある運輸局の監査の話です。

「2年前に軽傷事故を起こしていると思うんですが、事故記録を見せてもらえますか?」

こんな質問を監査官からされたのです。

事故報告書の届け出が不要な軽傷事故の記録。
これが盲点になりました。

事故当時、運輸局からの指導もなかったため「事故記録」の作成をしていなかったのです。
今回の監査で、運輸局はその事実を蒸し返してきたのです。
おそらく2年前に警察から事故内容を入手しており、データを記録してあったのでしょう。
今回の重大事故の監査で“ついでに”チェックしたのです。
続きがあります。

保存されていた「事故記録」の中に、軽傷事故後に
同じドライバーが他の軽傷事故を起こした記録があるのを見つけたのです。

それの何が問題になるのか。

「適性診断の未受診違反」が発覚したのです。

「適性診断」といえば次の3種類あります。
新たに雇入れば場合の「初任診断」。
65歳以上になった場合の「適齢診断」。
事故惹起者に対する「特定診断」。

指摘されたのは「特定診断」。
特定診断にはⅠとⅡがあります。

「軽傷事故を起こし、かつ、当該事故前の3年間に事故を起こしたことがある者」は、
「特定診断Ⅰ」の受診義務があるのです。

軽傷事故による「特定診断Ⅰ」を受ける義務があることを思い出せる人がどれだけいるでしょう。
重箱の隅をつつくような、ある意味、鋭い監査です。

しかも、特定診断を受診したドライバーに対して、6時間の特別指導も実施する必要があります。

「事故記録を見せてください」という質問から暴かれた3つの法令違反。
1つ目は、事故記録の記録なし。
2つ目は、適性診断の未受診。
3つ目は、特別指導の未実施。

確かにかなり厳しく細かい指摘ではあります。
一方で理にかなっているといえば、そうかもしれません。

たとえ軽傷事故でもしっかり事故記録を作成し、原因究明と再発防止対策を実施すること。
この習慣が身についていたら、今回の死亡事故を防ぐことができたかもしれません。

小さな事故に対して
「一歩間違えば、人が亡くなっていたかもしれない」
という危機意識を持つことができるか。

“健全な危機意識”は経営者、管理者、ドライバーの共有マインドですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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