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行政処分は受けた後が長い

国土交通省の監査

行政処分は受けた後3年間がなが〜い、です。

本紙でも既に報道されましたが、
車両数277台、30日の営業停止処分を関東地区の運送会社が受けました。

営業停止になった主な原因は「著しい乗務時間等の遵守違反」。

「乗務時間等の告示の違反件数31件以上のドライバーが3名、かつ、過半数のドライバーが拘束時間違反をしていた」という違反です。

労働局の通報を受け監査が入ったのは平成29年12月。
しかし、もっと注目すべきは、そのちょうど1年前の平成28年12月に行政処分を受けている点です。

行政処分を受けたキッカケは死亡事故。
幸か不幸か、たった「1台20日の車両停止」で済んでいます。
ただラッキーだったと簡単にはいえない事情があるのです。
「累積違反点数」です。

1年前の行政処分で違反点数2点が付与されています。
法令違反内容は、
1.乗務時間等の告示の遵守
2.点呼の実施義務
3.ドライバーに対する指導監督義務
4.報告義務
の4つでした。

今回の277台30日の営業停止では、違反点数35点。
法令違反内容は、
1.乗務時間等の告示の遵守
2.点呼の実施義務
3.ドライバーに対する指導監督義務
4.運行指示書の作成義務
の4つです。

現時点で累積違反点数は「37点」です。
原則、行政処分決定から3年間で消滅します。
逆に、平成28年12月から3年以内の平成31年12月までに同じ違反をすると「累違反」の規定が適用されます。

行政処分は、初めての違反を「初違反」、
初違反をしてから3年以内に再度、同じ内容の違反をすると「再違反」、
さらに、初違反から3年以内に2回、同じ法令違反をすると「累違反」となります。

原則、再違反は初違反の2倍、累違反は初違反の4倍の重さになります。

今回の事例でみると
1.乗務時間等の告示の遵守
2.点呼の実施義務
3.ドライバーに対する指導監督義務
の3つが「再違反」となっています。

ということは、上記3つの違反を平成31年12月までに指摘され、行政処分を受けると「累違反」が適用されることになります。

仮に試算してみます。
1.乗務時間等の告示の遵守について、1ヶ月16件以上の違反があったとすると、累違反は80日車、違反点数「8点」。
2.点呼の実施義務について、100回中20回以上49回以下の未実施があったとすると、累違反は40日車、違反点数「4点」。
3.ドライバーに対する指導監督義務について、2分の1未満の未実施であったとすると、累違反は20日車、違反点数「2点」になります。

累違反による違反点数の合計は8点+4点+2点=14点。
これまでの37点に14点を加算すると、累積違反点数51点になります。
実は、累積違反点数51点は大きな意味があります。
“関東運輸局が管轄するすべての営業所”が3日間の営業停止処分になってしまうのです。

法令違反を放置してきた代償はとても重いです。
運送会社の社長が法令違反に対して真剣に向かい合うことがいかに大事なことか。
今回の事例は格好の教材となったのではないでしょうか。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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