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事故後でも運送会社がやるべきことはある

国土交通省の監査

レフェリーのホイッスルです。

サーカーのゲーム中、反則があってもあえてゲームを止めず(ホイッスルを吹かず)、
ゲームを続行させることが、レフェリーの権限として認められています。

実は、運輸局の監査でも似たようなことがあります。

例えば、3ヶ月点検の未実施。
社内で実施しているとは名ばかりで、
実際にはやっていない、というケースがあります。

ある運送会社の社長からのご依頼で
運輸監査前に法令チェックをした際に判明しました。
当のご本人は「やっている」と主張したかったようでしたが、
もし指摘されたら認めるようにお願いしました。

案の定、監査官から
「社長、3ヶ月点検、やってませんよね」
といきなり断言されました。

もしここで、「やっています」と言い切っていたらどうなったのでしょうか?

おそらく、間髪入れず次のように質問されるでしょう。
「では、点検設備を見せて下さい」と。

自社内で3ヶ月点検をやっているかどうかは、
すでに監査官は分かっているのです。
なぜなら営業所や車庫の状況をチェックしているからです。

もし、「3ヶ月点検をやっている」という嘘の説明をし、
3ヶ月点検が全く未実施であると判断されたら、最大60日間の営業停止になってしまいます。

社長が「未実施」を素直に認めたことで、実際に行政処分はどうなったのか?

監査終了時に
「2台、年間3回未実施」の違反になる可能性があるとの指摘をされました。

ところが、いざ蓋を開けてみると
「1台、年2回未実施」になったのです。

「2台、年間3回未実施」であれば、20日車の車両停止。
「1台、年間2回未実施」であれば、5日車の車両停止です。
“15日車”も行政処分が軽減されたことになります。

なぜ軽減されたのか、はっきりとした原因は分かりません。
ただ1つだけ言えるのは、「事故後の改善はかなりできていた」ということ。

例えば、点呼の実施。
6月改正の睡眠時間の確認について、様式を変更し、確実に実施記録していました。
3ヶ月点検についても事故後に整備事業者と契約をして、確実に実施されていました。

すべての違反事実に対してホイッスルが吹かれるわけではありません。

事故前から法令遵守されていることがベストです。
もしできていない場合には、諦めず迅速に改善をすることが次善策。

ホイッスルをどの頻度で吹くのか。
サッカーだけでなく、運輸監査時のレフェリー(監査官)にも裁量権があるのかもしれませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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