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嘘は方便にも放免にもならず

国土交通省の監査点呼

最近の行政処分事例を見てわかること。

それは、車両停止の日車数が増えていることです。
行政処分基準改正前では文書警告、10日車から30日車くらいが主流でした。
ところが、今年に入り、改正後の行政処分基準で処分された事例ではかなり変化が出てきています。
具体的には。50日車以上、場合によると100日車を超える行政処分を受ける事業者が増えているのです。

車両停止日車が増えていることも注目に値しますが、もっと重要なことがあります。
同時に停止される車両数です。

例えば、120日車の車両停止処分を31台の営業所が受けた場合で考えてみます。
8台+(120日車ー80日車)÷10=12両を同時に停止されます。
しかも、120日車÷12両=10日間です。

改正行政処分基準は、車両停止日車だけでなく、
同時停止される車両数も増えることが特徴です。

違反内容で気になるのは、
点呼記録、運転日報、運行記録計の不実記載(記録)や改ざんです。

点呼記録の不実記載、改ざんだけで60日車です。
改正前が30日車ですから2倍の重さになっています。
にもかかわらず、いまだに何とか記録をごまかして
監査時の違反指摘を逃れようと安易に考える経営者や管理者がいます。

最近の関東運輸局の死亡事故時の監査事例では、
点呼記録と運転日報、さらには運行記録計の不実記載(記録)、改ざんだけで
「180日車」の行政処分を受けたケースがあります。

点呼を例にあげると、
100%未実施でなければ、点呼必要回数100回中50回以上未実施であっても、
初回は「20日車」です。

嘘の点呼記録が見つかれば「60日車」になります。
嘘だけで3倍、行政処分が重くなるのです。
この事実を知っていれば、
嘘の記録を作成するなど、本当にバカらしいことだということがわかります。

働き方改革がスタートしました。
政府の目標の1つが、1ヶ月の拘束時間293時間以内(特例月は320時間以内)を
すべての運送事業者が遵守できる状態にすることです。

その達成期限は2024年3月31日です。

これから4年間、国土交通省の監査は、改善基準違反、
中でも1ヶ月の拘束時間違反については重点的に行われるでしょう。

先日「許可取り消し」になった関東地区の中堅運送事業者は、まるで見せしめのようです。
許可取り消しになった主な原因は、1ヶ月の拘束時間を含めた改善基準の違反です。

改善基準を守っているかどうかを判断する3点セット。
それが「点呼記録」「運転日報」「運行記録計」です。

改善基準違反をごまかそうとする運送事業者に対して、
今後、厳しい行政処分を科していくのは当然のことです。

対面点呼をやっていないのに、点呼記録の「対面」欄に⚪︎を付ける行為が、
不実記載という大きな法令違反に問われる時代です。

「記録」の持つ法的な重みを再度、社内で確認する必要がありますね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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