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「義務」か「必要」の選択で決まる運送会社の未来

経営者スピリッツ

「それは義務ですか?」
と経営者から質問されることがあります。

例えば、血圧計による乗務前点呼時の測定。
例えば、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査。
例えば、脳MRI、MRAの検査。
すべて「義務」ではありません。

ここで経営者の判断が分かれます。
「義務」かどうかで判断する経営者と
「必要」かどうかで判断する経営者の2つにです。

義務(=法律)とは最低限のものです。
実は、コンプライアンス(法令遵守)はそんなに自慢するものではありません。
これまで運送業界が法令を守れないことが普通だったため、勘違いしているだけです。

働き方改革の影響で、いずれコンプライアンスが“普通”になる日がやってくるでしょう。
その時、自社が他社と差別化できているかどうか。
この視点を今から持つことが大切です。

特に時間外労働時間は、運送事業者間で相当の格差が生まれるのではないでしょうか。
2019年4月の労働基準法改正から5年間の猶予期間が、ドライバーに対してはあるからです。

5年以内に月80時間以内を目指すのは“並”の社長。
5年以内に月70時間以内を目指すのは“上”の社長。
5年以内に月60時間以内を目指すのは“特上”の社長です。
もちろん“給料は減らさずに”です。

5年後に80時間以内にするか、60時間以内にするか。
今からやるべきことが全く違ってきます。

オリンピック出場が目標の選手と金メダルを目指す選手では
日頃の練習メニューが全く違うのと同じです。

アスリートだと当たり前のことが、なぜか経営者、中でも中小運送会社のオーナー社長だと気づきにくいのです。
社長が練習(会社をよくするための取り組み)をサボっても、誰も注意する人がいないからです。

「あなたは、あなたが夢見た人間になるでしょう」と言ったのは
イギリスの作家、ジェームズ・アレンです。

「法律ギリギリの最低限月80時間でいいや」と経営者が思えば、
最低限しか働かないドライバーが集まる運送会社になるでしょう。

「猶予期間など当てにせず、せっせと80時間よりも短くしたい」と夢見れば、
社長の心意気を察するドライバーが集まる運送会社になるでしょう。

“法律以上”の時間外労働時間の短縮は、現段階では“無駄”に見える取り組みです。
それでも月60時間以下の時間外労働を毎晩のように“夢みる”ことを続けられるかどうか。

「社長は、社長が夢見たとおりの会社になる」ということですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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