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ドライバー不足と無縁な運送会社の条件(第3回)

「もっと検索エンジンで上位に表示するように、求人広告費を増やさないとダメかな」

そう感じている運送会社の社長さんも多いことでしょう。

究極の求人方法とは、
求人広告を出さなくてもドライバーが集まってくることです。

大手や中堅の運送会社は、その豊富な財力で検索型求人広告費をじゃんじゃん使って
検索結果の上位表示を狙うこともできます。
同じ土俵に中小運送会社が乗れば、敗北は火を見るより明らか。

資金力のない中小運送会社はどうしたらいいのでしょうか?

「他社ドライバーが自社ドライバーに話しかけてくる」。
こんなことが小さな運送会社でも起きています。

「よさそうな運送会社に見えるんだけど、実際はどうなの?」
このように話しかけられたのです。

「うちの会社、労働時間が短くなるように改善してくれてるよ」。
「運賃値上げができたとかで、手当を増やしてくれたし」。
「ドライバー同士も仲良くて、仕事終わってからも休憩室でしゃべったりしてるよ」。
こんな会話だったそうです。

すると驚くべき反応が返ってきたのです。

「俺、面接を受けたいんだけど、会社の人に聞いてくれないかな」
とお願いしてきたのです。

「じゃあ、一度、会社の人に聞いてみるね」
こう話した時のドライバーの心境はいかほどだったか。

「自分が働いている会社に入りたいと思う同業他社のドライバーがいる」。
このことをドライバー自身が実感できたのです。
他社ドライバーからの羨望の眼差し。
勤めている自分の会社に対して湧き上がる誇り。
“自分を肯定できた瞬間”だったのではないでしょうか。

人は自分自身を客観的に見つめることは難しいです。
どんなに仕事を好きでやっていても、
誰も評価してくれなかったり、喜んでくれたりする姿を見たことがないと、
次第に不安になります。
不安になると、自信をなくします。

「自分の働いている会社に入りたいと思う同業他社のドライバーがいる」
という事実を目の当たりにしたこと。
「この会社に就職してよかった」と心底思ったはずです。

他社ドライバーから聞かれたので、素直に自分の感想を話しただけ。
それなのに「ぜひ面接を受けたい」と依頼してきたわけです。

「ドライバーを紹介してくれたら紹介料を払うから」と会社に頼まれていたわけではありません。
紹介料を払うから、というのは品のない仕組みです。
クレジットカードの勧誘方法と同じく、友人、知人を金で売るような行為です。
たいした人材は集まってこないでしょう。
仮に一旦入会(入社)しても、すぐに解約(退職)してしまうような人がたくさんきます。
「この運送会社だから入りたい」と思うような人はほぼいません。
その結果、常時ドライバー面接を開催する羽目になります。

今回のポイントは、ドライバーが他社ドライバーに話しかけられたこと。

まず最初に話しかけられた言葉、
「よさそうな会社に見えるんだけど…」です。

まずは“見た目”が大事ということ。

男女問わず、最初に目を奪われるのは“見た目”。
「なんか楽しそうに働いているなあ」
「いつもピカピカのトラックだなあ」
「ユニフォームも既製品ではなく、なんかカッコいいなあ」

こんなことを感じながら、いつも観察していたに違いありません。

見た目がいいと、ドライバー採用の入り口に立つことができるのです。
問題はこれからです。

「よさそうな会社に見えるんだけど、実際はどうなの?」
必ずこうなります。

面接で説明を受けても、いいことしか説明されないことが多いからです。
ホームページも虚飾された内容が多く、素直に信じきれないのも理由の1つ。
世の中、格好だけよくて中身は最低、という商品や会社、人は数多あります。

実際に働いているドライバーは嘘をつきません。
だから聞かれるのです。
「実際はどうなの?」と。

ドライバーは隠す必要もないので、ありのままを話します。
「うちの会社、労働時間も短くなるように改善してくれてるよ」。
「運賃の値上げができたとかで、手当を増やしてくれたりもしたし」。
「ドライバー同士も仲良くて、仕事終わってからも休憩室でしゃべったりしてるよ」と。

トラックが寡黙で優秀なスカウトマンなら、
ドライバーは素直で雄弁なスカウトマンです。

日頃から、ドライバーを大事にしているか。
日頃から、ドライバーの労働環境を良くするために経営者が努力をしているか。
その成果が、すべて如実に現れます。

意図せずとも、ドライバーは他社ドライバーにありのままを語ってくれます。
ドライバーにとってよいことをすれば、「うちの会社はいいよ」と話します。
ドライバーにとって納得できないことをすれば「うちなんか来ない方がいいよ」と不平不満を撒き散らされます。

まず、自社ドライバーが他社ドライバーから
「よさそうな会社に見えるんだけど、実際はどうなの?」
と話しかけられるようになることが第一関門。
「いい会社だよ」
と自社ドライバーが素直に話してくれることが第二関門です。

求人広告に過大な出費をするよりも、目の前の自社ドライバーに少しでも投資すること。
これが究極のドライバー求人方法かもしれませんね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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