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ドライバー不足と無縁な運送会社の条件(第2回)

物流ニッポン

「ショーケースに入っている財布は高級に見える。」

もちろん一般的にショーケースに入っている商品は財布でなくても高級なものが多いです。
鍵がかけられていたり、ライトアップされていたりします。
商品を手に取りたい時は、手袋をはめた店員さんが対応します。
“見た目”がいかに大切か、ということがわかる事例です。
もし、高級財布が棚に無造作に山積みされていたら、価値あるものには見えないです。

翻って、運送会社の“見た目”とは何でしょう?

代表的なものとして、トラック、ドライバー、ホームページの3つがあります。

1つ目のトラック。
まず、清掃の行き届いた美しいトラックは、それだけで印象がいいです。
荷主企業からは当然として、通行人などの一般人が見ても良い運送会社に映ります。
しかし、一番の効果はこんなことではありません。
求人です。
何と言っても美しいトラックは公道で目立ちます。
他社ドライバーやこれからドライバーになりたいと考えている人はトラックの“外見”を見ています。

「この運送会社に入ればピカピカのトラックに乗れるかな」
「この運送会社に入れば新しい年式のトラックに乗れるかも」
トラックは寡黙で優秀なスカウトマンです。

トラックを品良くペインティングしたり、
早めに代替えをして新しい年式にしたりするメリットを知らない経営者が多すぎます。
特に2代目、3代目でドライバー経験がない経営者は注意が必要。
トラックを単なる荷物を運ぶ“道具”としか見ていないからです。
実際にトラックに乗務しているドライバーの気持ちがわからないのです。

ドライバーにもプライドがあります。
よその運送会社よりもピカピカでカッコいいトラック、新しいトラックを運転したいと思うものです。
経営者だって、いいスーツやカバン、乗用車で仕事をしたほうが気分も高まることでしょう。

耐用年数をとうに過ぎたトラックに乗せておいて、
“当社はドライバーを大切にしております”
と言われても、あまり信用できません。
もしかすると、ドライバーの運送会社に対する我慢の耐用年数が過ぎているのかもしれません。
トラックの見た目は大事です。

2つ目はドライバー。
ただここでいうドライバーとはあくまで“見た目”です。
つまりユニフォームのこと。
ドライバーのユニフォームもピンキリ。
必要最低限のものからオリジナリティあふれるものまであります。

「その服を着てやる気になれるか」。
そこまで服についてこだわることができる経営者かどうか。
たかが服、されど服です。
服装に無頓着な経営者はこの先、ドライバー募集で苦戦するでしょう。
誰だってダサい服で仕事をしたくありません。
彼女から、友人から、親から、他社ドライバーから
「いいね!」と言われるような外見(格好)で働きたいのです。

どんなに高価な財布でも、コンビニ袋に入れてプレゼントすれば、安物と思われます。
商品と同様に、ドライバーもどんな包装紙(ユニフォーム)で包むかによって全く雰囲気が変わってくるのです。
雰囲気が変われば、人もそれに影響を受けて変わる可能性が高いです。
ドライバーの見た目も大事です。

3つ目はホームページ。
これも運送会社の立派な見た目の1つ。
ユニフォーム同様、とりあえず最低限のものを作っておけばいいだろう。
そんなホームページをよく見かけます。
社名を入れ替えたら、どこの運送会社かわかりません。
ひどいと、内容が瓜二つのものまであります。

例えば、「ご家族の皆様へ」というページを設置しているホームページをよくみかけます。
この運送会社もやっちゃってる!とわかるくらい酷似しています。
果たして他の運送会社とほぼ同じ掲載内容のホームページを読んで、
いい運送会社だから入社しようと感じる人がどれだけいるのか。
仮にいたとして、入社後、たいして家族に優しくなかった場合のギャップは半端ないでしょう。
ホームページの内容と実際の会社の状態とのギャップで不信感を募らせ辞めたドライバーが、
SNSで悪評を拡散するリスクのほうが心配なくらいです。

経営者が真剣にドライバーのことを大切に思って入れば、行動となってすでに現れているはずです。
それを素直にホームページで表現すればよいだけです。
経営者の想いが強ければ、ホームページに時間もお金もかけるでしょう。
おのずとその会社ならではの内容が散りばめられたものになります。
どこかの運送会社の内容をマネたものには絶対なりません。
読む人、見る人には伝わります。
同業他社のホームページをマネしている経営者は要注意!
同じ内容のラブレターを彼女の名前だけ変えて使い回しするような愚かな行為だと気づく必要があります。
予算をケチり、情熱を欠いたホームページなら、むしろないほうがマシです。
ホームページは実際の会社の状態とのギャップがないのが正解。
身の丈にあった内容を表現するのが“誠実な会社”として印象がよくなります。

見た目は大事、というテーマでしたが、いかがでしたでしょうか?

運送会社の3つの見た目。
トラック、ドライバー、ホームページ。
“見た目”の話をしましたが、最終的には“経営者の中身”の問題に行き着きます。

経営者の考えていることが“見た目”としてにじみ出てしまう、といったところでしょうか。
どれだけ口で「ドライバーを大切にします」と言っても
どれだけホームページで「家族のみなさん、安心してください」と掲載しても、
トラックやドライバーを見れば、本心かどうかはバレてしまいます。

“見た目”を直しながら、経営者の“中身”も直す。
「人はその制服どおりの人間になる」。
さすがナポレオンの言葉、けだし至言ですね。

記事を書いた人

和田康宏

和田康宏トラック運送業専門コンサルタント

1971年愛知県生まれ。19歳で行政書士試験に合格。
会計事務所勤務後、22歳で行政書士事務所開業。
トラック運送業専門コンサルタントとして20年以上にわたり活躍。
事故時の緊急監査対策、平時の危機管理対策、荷主に指名されるドライバーを育成する仕組み作りなど、運送会社300社超のコンサルティング実績を持つ。
営業停止案件や運輸監査案件に携わった豊富な経験から、どの段階で何を優先し、どのレベルまで改善すべきかを的確に指導できることに定評がある。
「優先順位なき安全管理は徒労に終わる」が持論。
“顧客100%が運送会社”の正真正銘の運送業専門コンサルタントである。
2014年『運送業をしてきてよかった!』をミッションとして、一般社団法人トラック・マネジメント協会を設立、理事長に就任し、活動中。
2代目、3代目のための経営塾、『トラマネ運送塾』も主宰している。

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